前世でウサギが好きだったけど、正直これは酷すぎる
自分はこれで完結してるつもり。
「キューーーー!!?」
いきなりの絶叫、ごめんなさい。
私は兎人参花と言います。
………………いえ、言いました。 が正しいのでしょう。
なぜか私は兎になりました。
なんでかは本当に分かりません。
私の名前からして、異常なほど兎と縁があった人生です。
なんか人に参って兎やお花みたいに愛され可愛がられる子になって欲しいと願う意味で、名字も上手く使ってこんな意図的な名前に親がしてくれたそうですが。
あ、人参の参は参加とか言いますし、人と関わるとか人の輪に入る(まざる)とか意味があるみたいです。
大体は友達から上下の名前から一文字とって人参なんて言われ、だったらイッソのこと可愛く「キャロちゃん」なんて言われたかった不満があります。
ってそれは兎エピソードじゃないですね。
兎、兎……っと。
ちょっと森へ入る遠足とかキャンプとかのイベントが有れば、やたらと兎が寄ってきてとか。
兎を売っているペットショップの前を通れば、私に気付いた兎全員が私をガン見してきて……とか。
私が外へ出る時には、そこらの兎を飼っている全てのお宅の窓から、いつも兎達が私を見てくるとか。
喫茶店のオープンテラスでお茶してると、近くに兎を連れている人がいたら、その兎が飼い主から逃げて私のそばへ駆け寄ってくるとか。
ウサギ喫茶へ行けば、全てのウサギが店員さんや他のお客さんを無視して、私にばかりくっ付いてくるとか。
はい。
名前が人参のせいかどんな因果か、無条件でウサギにやたらと好かれました。
それで思う存分モフれて、お互いが満足した後に「ありがとうね。 もうお帰り」なんて言ってあげれば、素直に帰ってくれたりしました。
それでどれだけ友達に妬まれた事か……。
なお私自身もウサギは好きですが、沢山あつまると●がですね?
私の周囲からウサギが去ると、いつも●が一杯落ちていますので、ソコが……ソコだけが嫌でした。
これだけ兎が好きだし好かれてるからって、私自身がウサギになるって、目が覚める前の私は一体どんな事をしたのでしょうか?
…………まあ、どうせこれは夢でしょう。
一度の睡眠で見る夢の中で人生ひとつ分を経験する人もいると聞きますし、夢から目覚めるまでは、ウサギ生活を楽しんてやりましょう!
〜〜〜〜〜〜
うわ〜〜、ヤバかった〜〜。
天然の花畑で美味しそうな葉っぱをムシャムシャしてたら、ウサギの私と同じ位の大きさのミツバチに襲われちゃった。
ミツバチだから敵対しないでコソコソしてりゃ、敵認定されないと思ってたのに。
まさか私をスズメバチと同じ様に、沢山のミツバチが集まって私を閉じ込めて、ハチの発熱で倒そうとしてくるとは……。
ハチ集団の中はまるで50℃の熱湯風呂ヘ押し込められているようにツラかった。
それで耐えて耐えて耐え抜いて。
ミツバチの方が先に死んじゃって、なんとか助かった。
正直私も危なかった。 意識がいちど飛んだもの。
その意識が飛んだ時に、思い出したことがある。
私、死んじゃってました。
死因は、友達とキャンプへ行ったとき。
寝ようとして寝袋に潜り込んでしぼらくしたら、どうやって忍び込んだのか野ウサギ達が私の寝袋へ入ってきた。
その数が凄くて、寝袋がギューギューになるまでミッチリ。
それでもウサギが入ってこようとして、でも入りきれないウサギ達が私の顔面にゴッソリ座ってきて。
顔のウサギ達を退かそうにも、寝袋の中はウサギ達が詰まってて腕なんて動かせず。
なんとか呼吸をしようとするも、口に入ってくるのはウサギ達の毛と肌ばかり。
その結果、私は呼吸困難の上、圧力に負けて…………。
私の死体を見た友達は、多分リアクションに困っただろうなぁ。
私の寝袋にウサギがミッチリ詰まってて、ウサギが満足そうに顔の上に座ってて。
それを取り除いたら私が死んでた……なんて。
見た目では完全に誤解されて、モフ死とか言われてそう。
うん。 私は兎に転生したみたいです。
仏教で言えば、畜生道へ落とされたと言えるのかも知れません。
そんな悪い行いをした覚えは無いのですが……。
なんて考えていたら、なにやら私の目の前に。
なになに? えーと。
名前∶キャロ
種族∶野ウサギ ※進化可能なレベルに到達しました。 次の睡眠開始時に上位の存在へ進化します
技能∶ウサギ小屋(安全地帯となる家を任意で出し消しできます)
他にもズラズラと文字や数字が見えましたが、代表としてこんなのが見えました。
…………名前が待望のキャロ! キャロですよろしくおねがいします!!
キャロがいます。 人参ではありません。 キャロです。
え〜と、ほかには……進化? スキル?
まあ良く分かりませんが丁度体がヘロヘロで寝たかったですし、ウサギ小屋とか言うのが出せるみたいなんで、それを出して寝てみましょうか。
おやすみなさい。
おはようございます。
犬小屋みたいにしか見えないウサギ小屋で、起きて水場へ行って水面を覗きこんだら、姿が変わってました。
種族∶ユキウサギ
雪も無いのに、ユキウサギに。
手足が異様に伸びてました。 にょーんですよ、にょーん。
このウサギとしてコレジャナイ感。
こんな姿に進化って、何をどうすれば進化なんて、こんな短期間に眠るだけで出来るのでしょうか?
普通、進化は小さな小さな変化を続けて、その小さな変化をした種が更に何度も何度も交配して、また変化して。
それを天然の環境で何百年何千年繰り返して、ようやくハッキリした違いが出てきて、その変わった様子が進化であるはずなのですが。
…………人工的にやる場合は、遺伝子操作や品種改良と呼ばれますね。
う〜ん、なんだか謎の現象に立ち会ってますね。
まあいいでしょう。
新しい人生 (?)ですから気ままに生き抜いてやります!
〜〜〜〜〜〜
種族∶ラビョット
…………………………。
何でしょうか、コレ。
ユキウサギから進化した先の“ギガウサギ”でも混乱しましたけど、コレはソレ以上です。
ギガウサギになる前に、獰猛なネコとイヌのコンビと命のやり取りをして、どっかのライダーばりのユキウサギキックで勝ちをおさめて進化しました。
今回は緑色の肌で腰ミノ姿をして、驚くほど臭くて凶暴なヒトガタのナニカの大集団との死闘の果てです。
最後にはそこらの腰ミノより3倍か4倍か大きいのと戦って、機転を利かせてウサギ小屋を上手く使った上でギガウサギローリングをトドメに使い、何とか勝利。
また寝たら進化しますってのが出て、コレですよ。
進化するたびにウサギ小屋は大きくなって、ギガウサギになったら安アパートの部屋位の広さになって、ラビョットになったらワンルームマンションのお部屋サイズですよ。
それで部屋の隅に見つけた筋トレ道具を見なかった事にして、お風呂にあった姿見を見て、大混乱です。
私、恥ずかしい部分が毛でしっかり隠れた、頭がウサギで筋肉モリモリのアマゾネスになってます。
ハムストリング筋? とか、あらゆる筋肉が激しく主張するようにムキッと盛り上がっています。
なんで頭と尻尾以外がマッチョな人間になっているんでしょう?
しかも女性らしい胸じゃなく、完全に筋肉になっている逞しい姿。
いや本当に、私は一体何者になったのでしょうか?
蛇足
兎人参花
なぜかウサギに転生し、以降は謎の生き物化が進む。
なおスキルは使うが魔法らしい魔法は今後も使えない……んだと思う。
兎化した主人公の体毛の色
未設定。
ユキウサギだけは白だけど、それ以外はどんな色かは考えておりません。
ギガウサギ
漢字にすると、戯画兎。
鳥獣戯画の、道具を使える系兎。
鳥獣戯画の兎らしい、トリッキーな動きを得意とする。
なおギガウサギと枝分かれする進化先に、ギガケモノが存在する設定。
例のウサギでもカエルでもない、謎のモコモコ動物化する、ケモノルート。
ケモノルートには知性が育たないままだった場合にそっちへ行く。
最終的には超大きな毛玉にモコモコの手足が付いた、最高に訳のわからない凶暴な生き物に……なったら面白いと思う。
進化にかかる時間
ひと晩を想定。
スキル∶ウサギ小屋
最初はそのまんまウサギ小屋だが、なんの要因かスキルが成長すると日本の住居化する。
……と言うか、ある国の外国人が日本の住居をウサギ小屋と言ったとか言うけど、なんかただの誤訳だったとかとか。
まあどこで聞いたか忘れちゃったので、誤訳だった説が本当かどうかの保証は出来ませんが。
ラビョット
ウサギ頭で筋肉の怪人。
とにかく高い物理攻撃力が脅威。
首を刎ねるタイプの攻撃はせず、肉体言語による対話を重視するタイプ。
筋肉による威圧効果により怯んだ者は、短時間の行動不能や恐怖による逃走、腰が引けて攻撃に力が入らない等がランダムでかかる。
まれに魅了されるものもいると、眉唾な報告もあり。
ラビョットから進化すると ラビエル となり、翼が生える。 そして翼で飛べる。
ラビエルが筋肉に愛を込めて筋トレやボディービルのポージングをすることで飛び散る光る汗には、体力の回復効果と一時的な筋トレ効率増幅効果があるらしい。
今後の主人公の流れ
近くの街からゴブリンの不審な動きの原因を探る冒険者が、ゴブリンキングを倒す主人公を目撃。
それを街へ帰って報告した。
するとゴブリンキングを倒す謎のウサギらしきモノがヤベエ! となって、調査と(最悪の場合は)討伐の依頼を受けたベテラン以上の冒険者が主人公と接触。
筋肉があって、意思疎通も可能なウサギ? である主人公は冒険者達に連れられて、街へ向かう流れ。
更に後の展開は知らん。