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栄光と滅亡のアトランティス -The truth of Atlantis-  作者: 陽向瑠璃
第二章 法話と政治と戦
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第28話 思わぬ再会

「なんだと! アモン王子が透視でき、未来予知もでき攻撃してくる時間を的中させただと!?」

 バレスタインは驚愕していた。


「もしや。我々のしていることも視ているとか?」

 マシュロンも焦りを見せていた。


「王族担当の私には、何も政府に対しての質問はございません」

 ゴーランが報告する。


「確かにな。知っていれば、あの王だ。何かしら文句を言ってくるに違いない。毎月の講演で満足しているのだろう。アモンの透視や予知もあの姫が戦場に、またも出向いたからやったのだろう」

 ほっと胸をなでおろした。


「ガハル。片手武器部隊への対策を講じていたのに、大苦戦したな。結局、またあの姫の人気を押し上げてしまったではないか!」


「はっ! 申し訳ございません。何と言っても巨人相手の実戦が初めての者が多く、拠点駐在部隊との実戦経験の差がでてしまいました。しかしながら、これは経験を積むしかございません故、何卒お怒りをお沈めください」

 と正直に報告した。


「うぬぬぬぬぬ。まぁ仕方なかろう」

 と冷静さを取り戻した。


 それに安堵したガハルは、

「実はマシュロン殿から借りた5体のクローンを戦闘訓練をさせて気づいたのですが、その中の1体は非常に攻撃的でセンスもよく使える者がおりました。他の4体も剣と盾の使い方くらいは覚えましたので、弱くはありますが今回の戦のようなときには役に立つと感じました」

 と報告した。


「そうか! それは吉報だ。マシュロンよ。どんどん知性の高い者は軍部に送れ。分ったな」

 バレスタインが命じる。


「はい。かしこまりました」

 マシュロンが即答する。


「マシュロン殿、前回話をしていた現在研究している武器とな何だ。やはり気になって仕方がない」

 ガハルが問うた。


「まだ理論の中でして軽い実験を始めたばかりですので詳細は申し上げられません。が少しだけご説明します」

 と得意げな表情で語りだした。


「皆さま、水を酸素で冷やすとどうなるかご存じですよね?」


「馬鹿にするな。氷ができることくらい知っている」


「それでは、二酸化炭素で水を冷やすとどうなりますか?」


「ん? ドライアイスができるのではないか? それがどうした?」


「今、お話できるのはここまでです。研究が進めば詳細にご説明をいたしますので、今はこれくらいでご勘弁を」

 とマシュロンが口を閉じる。


「なんだか抽象的な話だな。まぁ良い。そういったことを武器や兵器として利用する研究なのだな」

 ガバルも引き下がった。


「はい。左様でございます」

 マシュロンが、ほっとしていた。


「5年は掛かると言っておったではないか。急がせて失敗しては何もならん。専門家に任せるとしよう」

 とバレスタインは会議の終わりを告げた。



 今回の戦での死者への弔い、遺族への補償金支給、重軽傷者の病院での治療、政府は良くやっていた。

「こういう能力は高いですな、あの政府は」

 アーク兄さまが、感心していた。


「実務能力は高いから、国民の支持も高いのよ」

 ラファティア姉さまが答える。


 お父様と4人の兄弟姉妹が揃い晩餐を済ませると、そう言った会話をしていた。


 話が一段落すると、お父様が口を開いた。

「今日は、みんなにお客様が来ているぞ」

 と言われてはみたものの、待っていても誰も扉から入ってこない。


 しかしアモン兄さまとラファティア姉さまが反応する。

「は‥‥母上!」

「お、お母様!!」

 同時にその言葉を発し、一点を眺めている。


 私も視線の先を見るが、何も見えない。

 アーク兄さまも同じようだった。


「そうだ。今日は頼んで来てもらったのだよ」

 とお父様はおっしゃった。


 長兄と長姉は感激しながら涙を流して近づいていく。

 私もその先に神経を集中すると、その空間にキラキラした光が視えた。

 そこまでは視ることができたが、お母様のお姿を視ることはできなかった。

 アーク兄さまは、何も視えないようだった。


 アモン兄さまとラファティア姉さまが、お母様と会話をしているので遠目で視ているしかなかった。

 しばらく会話が続き満足したのか、ラファティア姉さまがこちらを向いて、

「あなたたち2人には視えていないのよね。私たちだけごめんなさいね。でも代わりに会話の間に入るから、こちらにいらっしゃい」

 と優しく呼びかけてくれた。


「ルディアお母様。9年ぶりでございます。残念ながらこの目で視ることはかないませんが、存在を感じることはできます」

 とアーク兄さまを差し置いて、つい話かけてしまった。


 アーク兄さまは、いいよという顔をしていた。

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