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栄光と滅亡のアトランティス -The truth of Atlantis-  作者: 陽向瑠璃
第一章 情勢
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第1話 歴史1

 時は遡り、オリハルコン歴1587年。


 私の名は、ラムディア・ラァ・アトランティック。

 アトランティック王家の第2王女で、現在16歳。


『この頃の我が国は、どうやら好ましくない状況になっているようだ』


 王家のみが入れるピラミッド型の水晶神殿。

 その中で今、我が先祖たるトート神に祈りを捧げている。

 私は、毎日の朝夕には祈りに訪れているのだ。


「偉大なるトートの神よ。本日も私たちをお護り、お導きください」


 トート神。

 この地上にお生まれになられた時代に一気に文明レベルが上がったと聞く。

 だがその時代は既に1500年以上前であり、今では王家からは政治的実権が排除され共和・民主主義の名の元に野心に燃える政治家たちに国家運営されている現状を私はなげいている。


 朝の祈りが終わり、王家専用の歴史資料館に向かおうと思った矢先に、優し気な声を掛けられた。

「ラム、今日も熱心ね。あなたは活発だけど、こうした心を忘れない良い子に育ったわね。亡くなったお母さまも、きっと天の世界でお喜びになっていますよ」


 振り向くと、ラファティア姉さまだった。

 巫女的資質が高く、この神殿を管理、運営し、そして王家を結界で護ってくれている母親のような母性の持ち主だ。


「ラファ姉さま、おはようございます。今日は少し早く起きたのです。そしてお褒めくださって、ありがとうございます。姉さまこそ素晴らしい方と日々尊敬しております」


「あらあら。お世辞も上手になったのね」

 とクスクスと微笑んでいた。


「いえ。本心から申し上げています!」


「ありがとう。これから、何処に行くの?」


「歴史資料館で、偉大なるアトランティスの歴史を振り返ってみようと思っております」


「そうですか、あなたは真面目で熱心ね。小さな頃は男の子のようだったのに。はい、いってらっしゃい」


「はい。いって参ります」

 と軽くお辞儀をして歴史資料館に向かった。

 ラファティア姉さまは、手をバイバイとしながら微笑みつつ見送ってくれた。

 出来た姉だと思う。



 直接向かわず一旦、王宮から出て外輪庭園がいりんていえんに花を見に来た。


「おはようございます、ラム様」

 と声を掛けられ、そちらを向くと私の剣術の師匠であるシルバーであった。


「シルバー、おはようございます。珍しいですね、あなたが庭園に居るなんて」


「いえ。私でも花を愛でる気持ちはございますゆえ、たまにはこうして訪れているのです」


「そうだったのですか。失礼しました」


「いえいえ、姫様には……あ、失礼。ラム様にこのようなことで謝られては臣下として申し訳なく思います」


「それは、ごめんなさい。男性でもそう思うのですね。近衛隊の訓練はお任せしてばかりですが、ありがとうございます。私は名ばかりの近衛副隊長です」


「いえいえ、ラム様は剣術も素晴らしく、また防御のセンスも非常に高いハイクラスの戦士でもあります。大丈夫ですからお任せください。それに、きちんと毎日労いに来てくださるではないですか。自ら指導もされていますので元師匠としても鼻が高いです」


「それは、シルバー。あなたの指導が良かったのですよ。お礼申し上げます」


「勿体ないお言葉。ですが嬉しく思います」


「それでは、私は資料館でいろいろ考えたいので行ってきますね」


「はい。いってらっしゃいませ」

 とシルバーと別れた。深くお辞儀をして見送ってくれた。



 今度こそ、王家専用の歴史資料館に入り、改めてこのアトランティスの歴史を振り返ってみる。

 丸いボタン状の上に手を置き、見たい資料を探る。

 そう最初の資料から見てみたいのだ。


 選択し開くと、目の前にホログラフィーで内容が映し出された。

 ナレーションが始まる。


「このアトランティス大陸の人々は当初、漁業や狩猟を中心に暮らしていました」


「そして遡ること、今より5600年前、時の科学者たちが植物の成長エネルギーを取り出し増幅する発明に成功しました」


「各家庭には、グラスに豆を数粒いれ窓側に置き、そこに金属線を刺し増幅装置へと繋ぐ。それで一家の使用するエネルギーが抽出できたのです」


「生活様式は一気に加速して文明的にはなりましたが、人々は自然エネルギーへの感謝の気持ちを忘れず謙虚に生きていきます」


 そしてナレーションは続く、

「アトランティスに文明がもたらされて700年が経過した時に、大きな災害が起こりました」


「西の大陸のそのまた海の向こうにあったムー大陸が一夜にして没したのです」


「幸い、このアトランティス大陸には東西に大陸があるため津波の被害は皆無でした」


「ムー大陸が沈没してから、しばらくしてこのアトランティス大陸にもムー大陸からの避難民が押し寄せてきました」


「彼らは黄色人種で、私たち白色人種とは違っていましたし、今まで文化交流もありませんでしたが、我々は受け入れ共存の道を選びました」


「その時代の西の大陸の人々は、つまり赤色せきしょく人種は彼らを受け入れなかったため、更に東に向かい、このアトランティス大陸に辿り着いたのです」


「幸運なことに、避難民の中にはムー文明の科学者たちも含まれていたのです」


「彼らは親切に受け入れた我がアトランティスの民に対し、その技術を提供してくれたのでした」


「それは、変わった形の建物でした。今ではピラミッド型と言いますが当時では表現が難しい形だったのです」


「そのピラミッドは、太陽光を取り入れ増幅するエネルギー技術でした」


「彼らの国の街の中心には非常に大きなピラミッドがあり、中型のピラミッドが街の各所に配置され、各家庭の屋根の上の小さなピラミッドへとエネルギーが供給されるという凄い技術でした」


「また不思議なことに、宇宙エネルギーというものも取り込める物でした。宇宙と言うのは、夜に空を見上げると見える星々の燦爛さんらんする空間のことです」



 気づけは、既に夕刻であった。

 ホログラフィーに集中し過ぎて、思わず昼食も忘れってしまった。


『しかし何度見ても不思議な話だ。今では常識であるこの技術が、ムーという文明からもたらされたものだった。そして、このアトランティスは更に高度な文明へと進化していく』


『流石に疲れた。本日はここまでにして、夕刻の感謝のお祈りをして、お父様たちと食事をしよう』

 と思ったら、お腹が鳴ってしまった。

 誰もいないのはわかっていたけど、思わず周りを見渡してしまったことで笑ってしまった。

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