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栄光と滅亡のアトランティス -The truth of Atlantis-  作者: 陽向瑠璃
第二章 法話と政治と戦
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第18話 アトランティスの未来

 アモン兄さまが顔色を変えて、朝食の場に走ってきた。


「どうしたのですか? アモン兄さま」

 ラファティア姉さまが問う。


「政府の研究している内容がわかったのだ! やっと透視で視ることができた」

 顔が真っ青だ。


「アモン兄が、そんな冷静さを失うってことは、とんでもない内容だとは分かるよ」

 アーク兄さまが続く。


「まずは呼吸と整えてください。そして朝食を済ませてから、ゆっくりと聞かせてください」

 と私は伝えた。


「そうだね。そうすることにするよ」

 アモン兄さまは、腹式呼吸で冷静さを取り戻そうとしていた。


 お父様を見ると意外にも動じておらず冷静であった。

 トート神の啓示を受けてからお父様はお変わりになられた。

 何もかも見据えて、知っているように感じた。

 ご法話の開始は、それと関係しているではないかと確信に近い想いがした。



 朝食を済ませるとアーク兄さまから、

「さて、みんなが落ち着いた頃合いだからアモン兄、聞かせて欲しい」


「今朝の祈りの時間に遠隔透視をした施設で視たのは、クローンだったのだ!」


「クローン? 食用の動物のですか?」

 アーク兄さまが質問すると、


「とんでもない! 人間のだよ。政府は私たちに分からないように隠れて施設を作り大量のクローンを造っていたのだ。その目的は戦場に兵士の代わりに送り込む、知能が低いものは一般家庭に奴隷として売るというものだ。知能が感じられない者はそのまま処分、要するに殺して燃やすのだ!!」


 全員が、あまりの内容に沈黙してしまった。


「戦場に兵士として送り込むのは、アトランティス国民の被害が減って良いのではないか? 一般家庭への奴隷として売るのは問題だが」

 アーク兄さまが意見を言う。


「いえ。クローンの製造自体が神の領域を犯している大変なことです。許されることではありません!」

 ラファティア姉さまは、バシっと非難する。


 私は、思わずあの戦場での体験、その後の死者の葬儀を思い出すと完全に非難する気になれなかった。

 だから無言でいた。


「そうなんだ! これは決して許されることではないのだ。何とか政府を止めないと行けない」

 とアモン兄さまが焦りを見せていた。


 するとお父様が、

「肉体は人類でも遺伝子情報から生成することは可能だ。しかし魂は、心は創造できない。だからクローンの中身は人ではないのだよ。魂は天からしか宿らないのだ。今、彼らが造ったクローンの中身は、動物の魂や他の世界《星》からの魂が宿っているに過ぎない」

「創造神は巨人族もそうだが、創造したときにすべての人類に完全な自由を与えられた。それが神の領域を犯すことであってもな。しかし善行には善が、悪行には罰がやってくる。真理はそうなっているのだよ。自由には責任が伴うのだ」

「現に現在は青色人種は存在しない。創造神は創造したのだが、ムー文明より過去のときに滅ぼされてしまった」

 と冷静に述べた。


「では、お父様はクローン製造を見逃せとおっしゃるのですか?」

 ラファティア姉さまが、珍しくお父様に怒りを向けた。


「そうではない。私はトートの神から全てをお聞きしている。このままでは将来、アトランティスは滅ぶ。だから法話を開始し、思想の力で対抗しようとしているのだ。アトランティスの国民に善とは何かを教え導き、政府の悪行を非難する価値観を持たせ滅亡を防ぐのだよ」


 お父様が、私たち一人一人の目を見てから話を続ける。


「我々、王家の力だけでは防ぐことはできない。止めることができるのはアトランティス国民の総意、善意なのだ。私はトート神の声を伝え善導していく、しかし将来を決めるはアトランティス国民全員なのだよ」


「これは戦いなのだよ。武器をもって戦ういくさとは違い、一人一人の善意を目覚めさせアトランティスを救えるかどうかのな」


「大変、厳しいがまだ間に合う。だから子供たちよ。協力して欲しい。支えて欲しい。よろしく頼む」


「はい! 命に代えても!!」

 と全員が心から誓った。

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