追放から始まるプロローグ
新作書きました
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「アッフォード王国、魔法士団長ユーリウス・ヴェラッティ!」
「はっ!」
王に呼ばれ、俺は玉座の前に傅いた。
さきほど帰国したばかりなので今日の謁見については何も聞かされていないが、おそらくは先月のギガント関での小競り合いを無血で終結させたことへの報奨かなんかだろう。
あのときはやたらと強い魔法使いがいたから大変だったんだよなぁ。
と、そう思っていたときもありました。
「お前を追放する!」
目の前の不細……じゃなくてちょっと顔が愉快な王の発した言葉に俺は目を丸くした。
あ、これは比喩であって……でも仮に目が丸くなっても目の前の不細工よりはイケてる自信はあるな、うん。
「本来であれば処刑もやむなしといったところであるが、長年国に尽くしてくれたお前への温情あっての放逐である!」
「あっそうですか……でもなんでです?」
そう、俺には理由がよくわからなかった。
過去最年少、二十歳という若さで魔法士団長に抜擢されてから七年。
まともな休みなど一度も取れない程度には働いていた。
今だって戦端が開かれつつあったロウズリーフへ兵站を届けに行った帰りだったんだからな。
「お前、本当に分からんのか?」
「ええ、全く何を考えているのかすら分かりませんね」
「わ、我が娘の気持ちを考えたこともないのかっ!?」
目の前の気持ち悪い生物がいきり立っているが、何をいっているのか俺の耳ではよく聞き取れない。
えっと我が娘って……その隣に座っているヒキガエルだよな?
「ヒキガ……じゃなくてフローディア姫の気持ちといいますと?」
「お前はディアの誘いを承諾したにも関わらず、連絡もなしに約束を違ったであろう? ディアはあの日泣いておったのだぞ!」
「あー、んんー?」
確かに一週間ほど前、無理矢理出席させられたパーティでカエルとなんか話をしたような……。
俺はほわんほわんという効果音とともにその日のことを思い出そうとした。
「……くっ……!」
「どうした、今更後悔しても遅いぞ!」
「いえ、そうではなく思い出そうとすると気分が……でも大丈夫です! だって私は完全無血の英雄ですからね!」
俺はそんな仰々しい自分の二つ名にすがるようにしながら、なんとか過去の忌まわしい記憶を再生した。
そうあの日、確かカエルはわざわざ俺のテーブルまできて何かをいってたんだったな。
「……ということなので、今度ユーリウスもいかが?」
「あ、大丈夫でーす」
「え、いいの?」
「はい、もちろん結構ですー」
ん?いや俺はちゃんと秒で断っている。
内容は全然聞いてなかったけど、ちゃんと反射で断っているぞ。
大丈夫とか結構とかいうのは当然否定の意味で使ってるわけで……。
そうか、これはヒキガエルの勘違いだったんだろう。
「あ、思い出しました。それはヒキガエルの勘違いですね。自分は間違いなく断っておりました!」
「ヒキガ……エ、ル? それは一体誰のことなのだ、ユーリウスよ。私に聞かせてくれ」
「えーっとぉ……はい、追放でしたね。このユーリウス謹んで拝命いたします!」
誤魔化すのも面倒になった俺は、さっさと追放を受け入れることにした。
生まれた国だからとなんとなく仕えていたが、わざわざこんな愚かな王がいるこの国に固執する必要はないのではないか、そう思ったからだ。
俺には家族もいないし、カバンひとつあればどこででも生きていけるから何も困らない。
むしろ困るとすればこの国の方だと思うんだが……。
まぁ追放された俺にはもう関係のないことだ。
これからは田舎でスローライフでも送ればいいだろう。
そんなことを考えながら、俺は愚かな王と、そして国と決別するように謁見の間を出た。
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