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学園☆三國  作者: 私立叶慧学園
第一学期 英雄覚醒編
6/37

第3話『時迫る』

writer:シュレディンガーの猫刄


私立叶慧学園

劉備陣営


「義兄上、ここが我らが(しょく)です」

そう言って関羽──雲長は俺を引っ張り、蜀………と言うには貧相な組み立て式の小屋に連れてきた。


すると雲長はスライドドアに手を掛け──ドンッ!

と、派手に開け放つ。


その行為が小屋の中の"誰か"を起こす行為だとわかったのは、中から

「ふわぁぁぁぁぁぁあああっ」

と、大欠伸(おおあくび)を聞いてからだった。


「んんーーっ!!」

と、また元気そうな声をあげて背伸びをするのは、俺よりも…雲長よりも…少し幼げな、中等部くらいの女の子──否、すぐに誰かわかった。


張飛(ちょうひ)益徳(えきとく)…!!」


「ん?誰……ぁ、義兄(おにぃ)ちゃん!?」


張飛益徳──俺、劉備玄徳と関羽雲長と共に桃園で義兄弟の契りを結んだ歴戦の猛将の名だ。


純粋な戦闘力では関羽を上回っていたと言われるが……子供のような性格と酒によって失敗することが多かったという……。




──バンッ!

と、再び大きな音を立てて雲長はドアを閉め、張飛に歩み寄る……。


「なぜ……なぜいつもそうなんだ!!」

雲長は声をあらげて張飛に詰め寄る。


夏侯惇は雲長が予定より早く戻ってきたと言っていたが、確かに張飛は驚いたような顔をした。

そして、俺を連れてきたという事は……やがて張飛は察したようだった。


ガバッ

「義兄ちゃん!助けて!義姉(おねぇ)ちゃんが益徳をいじめる!」


「ぇ」


張飛は俺に抱きつく……いや、盾にして雲長から身を隠す。


いや、まぁ、その……悪いのは多分お前だよな。


それに雲長は俺の時みたいに怒りでは怒っていなかった。

張飛の事を思っての叱咤(しった)だということをわかって欲しかったのだが。


案外、先に折れたのは雲長だった。

ひとつため息をこぼすと、張飛が食い散らかしたであろう跡を片付け始めた。


そしてふと、くぃくぃと袖を引っ張られる。

振り向くと張飛が、さっきの反抗的な態度……とは真逆な、しんみりとした表情でこくりと首を傾げる。

「ごめんね?」


これが殺し文句いや、殺しシチュとでも言うのだろうか。

世界って……ほんとに止まってみえるんだな……(感涙)。

俺は満面の笑みで答える。

「あぁ、別に構わないよ、張飛☆」


「やったー☆^^*」

張飛も満面の笑みで答えるうおおおおおおおお

「しゅき☆」

うおおおおおおおおおおお

「ぎゅーっ☆」

うおおおおおおおおおおお

「ぁ、私の事は益徳でいいよ?☆」

うおおおおおおおおおおお


コホン──雲長の咳払いだった。

俺たちが馬鹿やってるのを制止するつもりだっt…

あれ?


雲長……赤面してる??


え?


お?お?^^*


益徳も気付いたのか-雲長への-殺し文句に掛かる

「私、義兄ちゃんのおよめさんになる!」




その時世界──いや、雲長だけが止まった……。










私立叶慧学園

の……どっか


ズリズリ……ズリズリ……


久々の太陽だった……。

いつもお姉様──と、みんなは呼ぶけれど私は──曹操と呼び捨てすることがゆされていた。


私の性格からそう気を利かせたのかもしれなかったが、彼女は私を監禁気味で少し窮屈だった。


ズリズリ……ズリズリ……


しばらく歩くと花壇の花からいい匂いがした。


最近は監禁が緩くなっていたけれど、ついさっき小屋に押し込まれて、しばらく外出禁止にされてしまった。


その腹いせに少し壁にあたるつもりが、うっかり小屋ごと木っ端微塵にしてしまい、帰る所もなく、仕方なくこう、歩いていたのだった。

そう、"仕 方 な く"。


ズリズリ……ズリズリ……


またしばらくあるくと、1匹の猫にであった。


私と同じで帰る場所を失ったのだろうか、どこにいくのだろうか、きいてみようか、


「なにを……しているの…?」


『余はお出かけにいくのにゃ』


「どこへ……いくの…?」


『余はアキバへむかうのにゃ』


「どうして……?」


『もえもえ魔法少女シリーズ最新作フィギュア限定版を確保するためにゃ』


「そう…大変ね……」


『3日前から並ばなければならぬのにゃ…戦場なのにゃ』


「なにか…手伝えるかしら……?」


『兵糧の供給を……なるべく高級猫缶…それもにゃんにゃんあややちゃんのパッケージがいいのにゃ』


「いやよ」


『そうかにゃ』


猫はすこし寂しそうに背中を丸めながら歩いていった……。


噂に聞いてはいたが、1人芝居とは実に(むな)しいものだとおもった。


しかし、そのおかげで(?)で、普段私は人と喋らないが意外とおしゃべりだったことに気づけた。


それから私はヲタクだという事も気づけた。


もしかしたら曹操が気晴らしに……と送ってくるゲームソフトのせいかもしれない。


そう考えると曹操の送ってきたこの、制服とも、メイド服とも違う──ゴスロリドレスはもしかしたら一般の人からみたらおかs……萌え萌えなのかもしれない。

そう、きっとそうにちがいない。


だからあの猫もしばらく足を止めたのだ。


やはりあの猫はヲタクだったのだ、間違いない。


きっとこれから限定フィギュアを買うに違いない。


…………虚しい。


ズリズリ……ズリズリ……


またまたしばらく歩くと、遠くからドタドタと数名が走る音が聴こえた。


それは皆見覚えのある服装──曹操のメイド部隊だった。


そして彼女達の会話から少なくとも3つの単語は聞き取れた。


"包囲"………"決行"……………………────関羽










包囲 決行 関羽 包囲 決行 関羽 包囲 関羽 決行 関羽 包囲 決行関羽 包囲 関羽 決行 関羽 関羽包囲 関羽 決行 包囲 関羽包囲関羽 決行関羽 関羽関羽 関羽 関羽 関羽関羽関羽 関羽 関羽関羽 関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽関羽


────関ウ……雲長……………わたシが……コろす……こノてデ……


今度こソ────そノ首を!!!

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