表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学園☆三國  作者: 私立叶慧学園
第一学期 英雄覚醒編
4/37

第1話『君は目覚める』

writer:シュレディンガーの猫刄


あれから数日……


平穏な生活は突然に崩れ去った……。

でも、悪いことだけじゃなかった。


ただ1日を終えるだけの生活をしていた俺の元に天使が舞い降りた……!!!


そう…!曹魏のトップアイドル!

その名も孫阿(そんあ)ちゃん!




そしてこの日は孫阿ちゃんの多目的ホールライブの日!


チケットも最前席で取ってある!

後はこの扉を開ければ……!




思えば扉を開く以前に気付くべきだったのもしれない。

いつもファン達で混雑してるはずの孫阿ちゃんのライブに誰一人集まって居なかったのだから…。




「もしもーし、聞こえてますかー?」

ホールの真ん中でぽつんと愕然として止まっていた俺に声がかかる。

孫阿ちゃんだった。


いつかこんな至近距離で話したいと思っていたが……。

こんな会話をしたいとは1ミリも思って居なかった。


「ねーねー、あなた、劉備(りゅうび)なんでしょ?

劉備玄徳(りゅうびげんとく)!」


「どうして……名前が……」

それをこぼすだけで限界だった。

なぜ、彼女は誰にも言った事のなかった自分に宿った魂の名前が分かったのか……。


魂が目覚めたのはつい数日前だった。

まだ、目覚めが浅いのかそこまで実感が無かったが、争いごとを避けたい為に魂の事はずっとだまっていたのだが…。


「近くによれば十分だ」

それは知らない女性の声だった。


我に返って目を凝らすと、ステージの影から一人の女性が歩いてきたのがわかった。


彼女は……………メイド服……???…に、眼帯……??


えっ………と。


…………………眼帯!?


「まさか…!夏侯惇(かこうとん)……!?」

隻眼の武将といえば曹操配下の重鎮夏侯惇、その名前が頭に過ぎった。

否、それ以前に見ただけで感じる事ができた!


「あっ………」

思わず漏れた言葉に彼女は答えた。


「"ご名答"いかにも私は夏侯惇元譲(かこうとんげんじょう)

そして、わかっただろう?

強い魂を持った者は魂の目覚めた者になら判別可能だ。」


失策だった。

ただ、名前を明かさなければ問題は無いと思っていた。

しかし、目覚めた後に孫阿ちゃんのライブへ向かったらその時点でバレていたのだった。


そうと分かればこの状況も納得がいく。


孫阿から俺の存在を聞いた曹操が邪魔にならない内に早く潰そうとしてたのだろう。




気付くと孫阿ちゃんはどこかえと消え、夏侯惇が俺の前に立ち塞がっていた。




孫阿ちゃんは俺が気配で気付かないように囮として呼ばれていたのだろう。

そして気を見計らって、手練の夏侯惇へバトンタッチ……。


……未だに自分が劉備だという自覚もできない自分だが、これだけは分かる。


"ここで死ぬ訳にはいかない"


その時だった。

まるで俺の危機を察知したように、否、察知したのだろう。


──龍が降ってきた。──

挿絵(By みてみん)


青龍……!!


俺を庇うように夏侯惇に目掛け堕ちてきたその轟雷──否、少女の名前が手に取るようにわかった。


「「関羽(かんう)……雲長(うんちょう)…!!」」

俺と夏侯惇の声が重なった。


夏侯惇は咄嗟のガードで傷付いた腕を庇いながら驚きの声を上げていたが、俺の声には別の意味があった。


それは、形容しがたい感情だったが、言うなれば暖かさがあった。


「関羽雲長……」

その名前を噛み締める度に魂が熱く……アツくなる!


それは彼女も同じだったのだろうか。

関羽は俺がその名前を呼んでいる事に気付くと、1本に結んだ長い黒髪を揺らして顔だけ振り返り、知的で意思の強いクールさを感じる落ち着いた表情を崩して、微笑みながら

「よかった……。」

と、そう呟いた。


この時彼女は頬を紅潮していたように見えたのは気のせいか……。


だが、このアツい高まりに間違いなく俺は紅潮していたに違いない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ