~∞日目~
writer:みそラーメン
「なんだなんだぁ!アプロディタ、貴様の力はその程度の物なのか!!」
「くっ…!」
流石に一晩中も戦っていると体も限界を迎えてくる。ましてやこの力に目覚めてから僅か数時間、全ての力を引き出せる訳が無かった。
「不味いわね…このままじゃジリ貧じゃない…!」
「徐庶!そのまま突っ込むんだ!」
そのまま突っ込む!?もしや藍音には何か秘策があるのか?暫く思考が停止する。そして、胎動する闇の意識の中で一つの作戦が浮かんだ。
…なるほど、"初心に帰れ"ということか。
ただがむしゃらに行動していたこの二週間のように、ひたすらに。
それは、そう。まるで獣のように!
再び静止していた時が今、動き出す。学園の鐘の音が鳴り響いた。授業の始まりである。
「いっけなーい!遅刻、遅刻!!」
ドン!
鈍!
激しく鈍い音だった。
アプロディタによるラグビー部のような巨体のタックルは複製クロノスを突き飛ばした!必殺の遅刻アタックだ!
「くそ…!てめぇ、何をしやがる!この機体を開発するのに幾らかかったと思ってやがる!」
「知らないわね!1000億かしら!でもね世の中、お金だけじゃあ買えないものもあるのよ!」
わたしの右ストレートがやつの機体の頭を殴り壊す!強力な一撃に見えた、だが所詮はメインカメラを壊しただけに過ぎない。決着にはまだ遠かった。
「…金で買えないものだと!そんなものは存在しない!俺ぁ、全てを金で手に入れてきた!それがなんだ!?何が買えねぇってんだ!?」
介象の二本の腕が私の上半身を押さえつけた。
「それは…!」
わたしは身動きがとれなかった。
しかし…。
「たった一つだけの!」
アプロディタは共鳴する、吠える、叫ぶ。
「愛よ!」
キーンとした高音がわたしの体を貫いた。
そして、機体の胸部が展開され、巨大な電子砲台が姿を表した。
「なっ…!」
瞬間、一筋の光が明日の水平線に向けて放たれた。巨大なレーザー砲である。
介象の機体に直撃する。
「俺のロボットが!俺の身体が!消えて行く…!!まさか、いや…もう認めるしか無い…。こいつは、徐庶は…この世界の…!ぐぁっ!っ…!」
「最後に言い残すことはあるかしら?」
「…これ…で…終わり…だと…思うなよ!…俺…ら…仙会は…!神を…越える…!そ…れが…俺たち…の…反逆だ………!!」
神…か。もしそんな存在が居るとしたならば、わたしは一つだけ祈るだろう。
(今度こそ、ちゃんとした世界でやりなおすんだ。永遠なんていらない。ただ毎日の積み重ねが愛を育む。そう、神様。わたしのたった一つの願い。聞いてくれるかしら?)
「介象の消滅を確認…。徐庶ちゃん、一緒に元の世界に帰ろう」
「うん」
わたしと藍音ちゃんは互いに眠りについた。
学園の屋上にて横たわる二人の魂。
そんな十五日目の昼下がり、長きに渡るループの呪縛は終わりを迎えたのだった。
次回はいよいよ最終回!
お楽しみに!




