~∝日目~
writer:みそラーメン
「…時間をねじ曲げた、これこそが神のみぞ成せる技だ」
「藍音ちゃん…あなたは…」
いや…これ以上彼女にこれを問い詰めるのは野暮か。でも…彼女の正体が一体何なのか、分かった気がする。わたしたちの住む世界とは違う存在、きっとそれが彼女の正体だ。古来よりわたしたちに知恵を与えた、外からやってきた一族の末裔…そういえば昔数学の先生が言っていたっけ。「世界には数式では証明出来ない現象がある」って。
今ならばその意味と意図が分かる。なぜならばこの目の前の出来事にはそれを信じるに値するだけの価値があるからだ。
「さて…時に干渉した以上、介象も黙っては居ないだろう。が、だからと言って今の僕たちにはそれに対抗するだけの手段も無い。だけどね、徐庶。君にはあるんじゃないか?それに対抗する力が」
「わたしに…?」
「そう、君がこのループ世界の中で積み重ねてきたその力には奴を打ち倒すだけのパワーがある。誰かを想う力…愛の力だ」
「愛…の力…」
わたしは愛していた。
誰を?
劉備様を。
だから?
だから、結ばれたかった。
なぜ?
幸せの味を感じたかった。
そう、それがわたしの正直な想い。
なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?…何故?
それは嫉妬。父は居なかった。
だから愛を求めた。
だから、それがわたしの力。
なるほどね。諸葛亮ちゃん、わたし分かった気がするよ。本当に愛することがどんなに大変なのかを。
「分かった、もう迷わない。わたしはこの繰り返す世界を終わらせる。真なる世界で愛をつかみとるのよ!顕現しなさい、わたしの力!」
煌めきよ、閃光となれ。肉体の壁よ、鋼となれ。電よ、わたしの力となれ。愛よ、神よ、その姿を顕現するのだ!
巨人が徐庶の背にあらわる時、妖しき影が二人の前に姿を見せていた。
「…こんなところに隠れていたのかアイオーン、そしてアプロディタ。西洋の神々がこの世界に何の用だ?」
「介象…ようやく姿を表してくれたね」
「それはこっちの台詞だ。せっかくのシステムを台無しにしやがって、俺の苦労も水の泡だ」
介象は半ば怒りを露にしている。
そこにわたしが問いかけた。
「介象、貴方の目的はなんなんです?」
「簡単なことだ。あのお方の為に俺はまずこの隔離世界の支配を目論んだ」
介象はニヤリと笑い左腕を天にかざしていた。
「その為に俺は神に近づいたんだ、そしてこいつを手に入れた。出でよ!コピーロイドクロノス!!やつの巨人を一掃するんだ!」
クロノスと呼ばれた藍音ちゃんに良く似たロボットはわたしに向かって走り出した。
「助けて、アプロディタ!」
クロノスが電光刀を手に持つとわたしを切りつけた。しかし、わたしが守りの姿勢をとるとアプロディタがこの体を覆っていた。鋼の体で弾かれた光の刃は力なく消えていた。
「小癪なぁっ!!」
クロノスが拳を構える。
「…なるほどね、アプロディタ!わたしの動きに合わせて!」
わたしは両腕をクロスさせてそれぞれの腕を左右に振りかぶった。すると桃色の壁が現れてクロノスの拳を跳ね返していた。
「まだまだぁっ!!」
左に右に、上に下に、奥に手前に縦横無尽に拳が飛び回る。そしてそれをアプロディタが守り通す、そんな攻防は夜になるまで続いた。
「もうじき12時を越える、そうしたらこの俺の勝ちだ!」
「しまった!早く決着をつけないと…!でも力はこいつの方が圧倒的に上、どうしたものか…」
わたしがそんな弱音を吐く。
「大丈夫、僕が居る」
すると藍音ちゃんは再び時間をねじ曲げた。
また今日の朝の繰り返しだ。
「くっ…貴様ぁ!」
悔しそうな介象、しかし。
「徐庶ちゃん、君には僕がついている。だから安心してこいつと決着をつけて」
「分かったわ!決戦二日目の突入よ!」
ロボ…やだ、尊い…。
メカメカシテル、カッコイイ。




