~十日目 ターニングポイント~
writer:みそラーメン
「ずっとずっと前からあなたのことが好きでした!わたしと付き合ってください!」
「すまない…今はダメなんだ」
デート作戦、失敗。
また新しい作戦を考える必要がありそうだ。
そんなわけでこの日の夜。
わたしは諸葛亮ちゃんと電話をしていた。
「色仕掛け作戦」
「却下」
「会食作戦」
「却下」
「純粋デート作戦」
「…却下」
「…じゃあ何が良いのよ?」
ここまではデジャブ。
ここからもきっとデジャブ。
「なんか他にないかな~。もっと奇抜で尚且つ成功率が高い作戦」
「欲張りね。でも…そうねぇ、恋愛ゲームの考え方だと何日もかけて相手を堕としていく…のが普通なんだけど」
「何よ恋愛ゲームって、でも今日中に堕とさないと困るのよ。わたしには今しかないんだから」
「徐庶ちゃん…?」
そうだ、今のわたしにはこの今日という日しか存在が許されない。過去に戻ることは出来ないし、未来に進むことさえも出来ない。そんな、この今日という監獄の中に閉じ込められている。例えこの場で諸葛亮ちゃんに事情を話しても信じてはもらえないだろう。なんてったって火曜日をループしているのだ、そんなアニメみたいな、漫画みたいな話が信じて貰えるとでも?
もし、そう考えてしまったのなら頭の中にでも花園が見えていることだろう。なんにせよまた今日も失敗だ。ささっと電話を切って布団に入ろう。
「…徐庶ちゃん?大丈夫?」
「ん…ああ!大丈夫、ちょっと考え事をしてただけよ」
「そう?何かあったら相談しなさいよ」
「うん、ありがと」
諸葛亮ちゃんにはそう言って電話を切る、そして部屋の灯りを落とす。布団を捲り、暖かい温もりの中へ身を沈める。これでまた明日が来る、もっともその明日は明日にあらず、今日なんだ。
(さあ…早く明日よ来て…)
わたしは切にそう願う。もうこの日の繰り返しは散々だ、やり直しなんてしなくたって良い、今は新しい一日の訪れを感じたい。それがわたしの願い。
だが…この夜、もはや眠れなくなっていた。
時計は回るがわたしの頭はもう回らない。もう、時刻は0時を回ろうとしていた。
(そういえば…こんなに遅くまで起きていたことは無かったな…)
1秒、2秒、3秒…と時計は着実に時を刻んでゆく。わたしには一つの疑問があった。この一日が繰り返されているのなら0時になったとき、この世界はどうなるのか?時計はまたリセットされるのか?あるいは、神なる存在がこの世界に干渉しているのか?
やがて時刻は夜0時を回る。
カーテンの隙間から溢れ出る月明かりが置時計を照らす。
11:59:56…TU
11:59:57…TU
11:59:58…TU
11:59:59…TU
…
…
……
00:00:01 TU
世界は今、始まった。
表記は変わらず、ただ同じ時を刻むのみ。
『まだ起きていたとは…驚きです』
「誰っ!?」
『ボクは時を司るもの、この世界の仕組みは今、大きく乱れているのです。貴女はこの時間の狭間に取り残された異物』
天井に浮かぶその光はわたしに向かって語る。これは夢だろうか?それとも現実なのだろうか?光がわたしを包み込むと同時に深い眠りへと誘われていった。
『もう一度…あの日に…』
最近は海底二万里にハマってます。面白い。




