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「ねえ、マイロは普段何をしている人なの?」
「大学生さ」
それが学校で最上の位置にあることはトールも本で学んだ。
「あたいも行きたい!行けるかな?」
「もちろんトールなら大丈夫さ」
「本当に?」
「ああ。でもその前に『あたい』はやめたほうがいい」
「何で変かな?」
「変じゃないけど、都会ってところは、自分と同じでない者を見ると、集団から疎外して……。そうやって仲間外れにして、いじめたり馬鹿にしたりするんだ。トール。そんなの嫌だろ?」
「うん。嫌だ」
「うん。だから言葉遣いや身だしなみに気をつかったほうがいい」
「わかった」
「それに君は立派なレディーなんだから。もったいないよ。それじゃ、せっかくの素材が台無しだよ」
「……あたし……あ、違った。えっと、……あた・じゃなかった、……ごめん。ちょっと待って。ちゃんと言えるから」
トールは一度深呼吸をした。ちゃんと言いたかった。伝えたかった。この人の前で。
「いくよ。わ・た・し。私。ねえ、マイロ。どう。これでいい?」
レディーと言われて照れながら、頬を赤らめながらそう一生懸命練習する自分をトールは認める。




