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「いったい何があったというのじゃ」

 安らかに眠りこけるトールをよそに、帰ってきたトワカはプローリアに問うた。夕食を鍋にしようかと意気込んでみたものの、台所は既に使われた調理器具と食器や湯のみがそのままになっているし、ソシアは疲れきったようにげっそりしているし、普段おだやかなリオンとジェシカは不服そうだし、マルカランに至ってはしっぽをこっちに向けて、決して顔を見ようとしない。あきらかに何かあったのだろうと、内心トワカはどぎまぎしていた。

「実は、トワカ師匠。トールが病に倒れまして」

「何と!して容態は?」

「ええ。薬膳料理を食させ、今は見ての通りです」

「そうか。それは良かった」

「その関係上、私たち夕食は済ませました」

「そうか。そうだったのか」

「はい。師匠のお心遣い大変痛み入ります」

「よいよい。鍋は明日の夕食にまわせばよいこと。して今宵こよいの夕食はなんなのじゃ?」

「はい。かゆでございます」

「何?!粥とな」

「はい。さっそく師匠の分も用意いたしますゆえ、しばしお待ちを」

 そう言って台所へ去るプローリアを見て、トワカは得心する。

そうか。だからリオンとジェシカは空腹であるし、ソシアは好意を抱く相手の心配をし、マルカランは……何故そっぽを向いているのか、こればかりはトワカでもわからなかった。

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