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翌日。
あきらめきれないプローリアは、もう一度トワカさんに同じ質問をする。
「プローリア。なぜ薬膳料理を学ぼうとする」
「友達のためです」
「なんと」
「友達が逆暗示をかけて苦しんでいます。治したいのです」
「ふむ。私利私欲のためではないのだな。面白い。お前のような娘は久々に見た。よかろう。友達を救いたいか。なかなか心に堪えたわい」
「ありがとうございます」
「だが、修行は厳しいぞ」
「はい。わかっております」
「うむ。良い心がけじゃ」
トワカ師匠は髭をさすった。
「ここに来たのじゃ。第一関門は突破してる。次の関門じゃ」
「はい」
「薬膳とは何じゃ」
「はい。薬膳とは、全ての食物は『五味』と呼ばれる酸味・苦味・甘味・辛味・塩味。『五性』と呼ばれる熱性・温性・平性・涼性・寒性があります。その効果を得るためには、その特性を生かした食材を選ぶこと。そして食する人の体の状態や体質。気候との適合を考慮することです」
「まるで額面通りじゃ。プローリアそなたの回答には実体験がない。書物の記述をただ頭に詰め込んだだけでは、薬膳料理は作れぬぞ」
その通りであります。
「では、師匠。どうすれば」
「花鳥風月」
「それはいったい?」
「三日後。ここで薬膳料理を作りなさい。そこで結果をだせたなら、お前を弟子として迎えよう。そして卒業の暁には、わしの薬膳料理の集大成『薬膳図鑑』を伝授しよう」
「わかりました」
プローリアの声がとても大きい。周りのみんなはガッツポーズやうなずきや笑顔でプローリアに応えてくれる。




