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―3年後。
割った薪で、エメラルダが風呂を沸かしてくれる。トワカは一日の作業を終え、風呂に入り、ひとときの安らぎを覚える。永遠はない。いずれ別れが訪れるとわかってはいても。
食卓にてエメラルダと食事を済ませた。ほぼ8割の出来でトワカとさして変わりない薬膳料理を作ることが出来るようになっていた。まだ、3年……いやもう3年と言うべきか。
「私は、食医になって、トワカ師匠から学んだ薬膳の知識を活かします。今まで誰も成し得なかった食医と薬膳を融合させた調和の取れた料理を追求していくことが理想です」
「すごい夢じゃのう。エメラルダ」
「はい。見ていてください。私 絶対 夢をかなえてみせます」
「楽しみじゃ」
トワカは満面の笑みで笑った。
その言葉と感情は、もはや弟子に対してではなく孫に対しての、一種のそれとなっていた。




