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「修行に行ってくる」
そういうトワカをプローリアは追いかけ、トワカの滝行を毎日観察し続ける。
リオンとジェシカは朝から晩まで立ち合い。プローリアはトワカの例の、『トワカ四天料』を呼んでいる。マルカランはプローリアの側を離れないし、逆にソシアはトールの側を離れない。
そして今、あることに気付く。トワカは悲しんでいる。滝の水にごまかされているが、涙を流している。「あっ、これは修行ではなく、苦行なのだ」と。
「トワカ様。あなたのしていることは修行ではない。苦行ですね。いったい過去に何があったというのです?」
「わしには昔弟子がおった。面白い話じゃろう。弟子はとらんなどと言っておきながら実のところとっていたのじゃからな」
「……いえ」
「名をエメラルダという」
エメラルダ……まさか?!でも流す。
「よくできた弟子じゃった。そして王国の食医にまで上り詰めた」
やはり。あのエメラルダでありましたか。プローリアは得心する。
「しかし道を踏み間違えてしまった。そしてあやつは変わってしまった」
「いったいなにがあったというのです」
「……」
トワカは無言を貫き空を仰ぎ見た。
「教えてください。私はあなたの弟子を志願しに来ました。それなのにあなたは断り、むげに追い返そうとする。納得できません。正当な理由も聞かずこのまま引き下がるわけにはいかないんです」
「プローリア。そこまでしてお主。わしの弟子になりたいのか?」
「はい。だから私には知る権利があるはずです。なぜあなたが弟子を取らないのか。そしてあなたの弟子だったはずのエメラルダ食医とトワカ様にいったい何があったのかを」
トワカは視線をプローリアに戻し、呼吸を吐いて整えた。
「よかろう。たしかに弟子を志願しているお前には知るべき権利があるのかもしれぬ」
そう言って、見つめる目の先が、プローリアから遠い過去の思い出へと変わる。
「家に戻ろうか。どうせ話すなら皆が一緒のほうがよいじゃろう」
「はい」
プローリアは歩き出すトワカの後ろについていく。




