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ここは男組の部屋。
「トールのどこがいいんだ?」
リオンが訊いた。「ごろニャーン」とマルカランが同調した。
「うーんとね。凛々(りり)しいところかな」
「なるほどな。でも凛々しいという意味なら、ジェシカだって凛々しいじゃないか」
「そうなんだけど、ジェシカは隙がないじゃない。男が守らなくても、私はひとりでも生きていけます、っていう感じがプンプンでてるんだよな」
「確かに」
「ねえ、リオンもそう思うでしょ」
「でも、それ。絶対に彼女の言わないほうがいいぞ」
「え?!何でさ」
「ジェシカは、ああ見えて意外にデリケートなんだ。しかも子どものお前に言われたとなっちゃ、その度合いは半端ないだろう」
「そんなもんかな。僕は褒めたつもりなんだけどな」
「ごろニャーン」とマルカランが鳴いた。どうやら、違うよ、と伝えたいらしい。
「でもさすがリオンだね。よくわかってる」
「剣を扱うもの同士、わかることもある」
「なるほど」
男組の話はまだ終わらない。




