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 家がぽつんと一軒あった。川のせせらぎ。小鳥のさえずり。静かな風がそよそよと吹く。そういったものに囲まれてさぞ、悠々自適なのだろうか。プローリアは門扉を開けドアをたたく。

「誰じゃ」

「プローリアと申します。トワカさんに用があって来ました」

「うむ。入れ」

 老人の言葉でプローリアたちは、意気込み入る。

「お邪魔します。あなたがトワカさん」

「そうじゃ。よく来たのう。むさくるしい所じゃろ。それにしてもこのような辺鄙へんぴな山奥に客人とはめずらしい。しかも猫も同伴とはな」

 トワカ老人は、マルカランをなでなでしている。マルカランはなついている。人見知りのマルカランがめずらしいこともあるものだと興味をそそる。

 入ったらすでに先客がいた。もちろんトールだ。壁に寄りかかっている。

「やっぱり来たのね」

「こんにちは」

 プローリアたちは額面通りの挨拶あいさつをした。

「おや。知り合いだったのかい。運命とは面白いものじゃわい。まあ、適当に。楽になさい」

 プローリアたちは4つある席にテーブルを挟んで座る。トワカ老人は台所でお茶を入れる準備をしている。

 失礼だとは思いながらも、部屋を見回す。何もないが唯一目立つ本棚には、「トワカ四天料 著者トワカ」とあった。さすが伝説のcookである。書籍も出版していたとは恐れ入ります。

 お茶を配膳し、トワカは別のイスに腰掛けた。

「ここに辿り着いたということは、リスタラを偽者と見破ったのか。どなたかな?」

 プローリアたち全員の顔を見渡す。

「私だ。ジェシカと申す」

とは、天地がひっくり返っても、ジェシカは言わないでしょうけど。

 プローリアはゆっくりと手を上げる。

「そうか。娘……そなたがのう。いや、失礼。改めて自己紹介をしておこう。……ご存知だとは思うが、私がトワカじゃ。四川省の城下町の飲食店のcookたちは、わしを薬膳料理の師とおがむ」

「プローリアです」

「リオンです」

「ソシアだよ」

「ジェシカである」

「マルカランだぞ」多分通じてないだろう。

「うむ。それで?」

「あなたにお願いがあってきました。薬膳料理のレシピを教えていただけないでしょか?」

「……長旅で疲れたであろう。今日は泊まっていくがよい。たいしたもてなしもできぬがのう」

「いや…でも」

「こちらから話すことは何もない。……すまぬな。娘さん」

 このとき、なぜかトワカさんからの答えはなかった。トールを見れば、コクリとうなずく。


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