はじまりのおわりのまるで、おとぎ話
空模様が怪しくなっていた。灰色の雲が真っ青だった空を覆っていく。
(はやくイエにカエラないと……びしょびしょになっちゃう。そうなったら、センタクもしなきゃいけないし、おカゼひいてまたおかあさんにシンパイかけちゃう)
そう考えて、大木の椅子に腰掛けていたプローリアは思い腰をあげた。鹿とリスとにお別れを告げて、立った。
ゴロゴロ、ゴロゴロ、頭上から雷の鳴るすさまじい音があたりにこだました。しだいにポツリ、ポツリと、地面が濡れていく。次第に豪雨になった。鹿とリスが森に帰っていく。プローリアも森に避難しようと、今いる森の入り口の広場から動こうとしたそのとき、「ピカーン、ドンピシャーン」すごい音と光がして、空からギザギザの黄色い光がプローリアめがけて落ちた。プローリアはショックで気を失った。
気付いたら、雨はやんでいて、プローリアは横になっていた。
(……わたし、ショックでキゼツしてたんだ)
ふと、横を見れば、大木が焼け焦げていた。
(さっきのカミナリでマルコゲになっちゃったんだ)
プローリアは起き上がり、まる焦げになった大木を撫でた。
(ありがとう。タイボクさん。わたしのミガワリになってくれたのね)
プローリアが大木に感謝していると、森から鹿と、リスが現れて、近付いてくる。
「よかったね。プローリア。そうかその大木が避雷針になったんだね」
鹿だった。
「そうか。それは何より」
リスが鹿に同調した。
「もうほんと、心配したよ。でも良かった。これでまた一緒に遊べるね」
ぽかーんとしているプローリアにを見てリスが、思い出したように言った。
「……あ、そうだ。私のあげた木の実まる焦げじゃない。あれはなかなか手に入らないおいしい奴だったのに。まっ、いいや。プローリアが助かったわけだし」
「?!……え。えっ、えっ、えー!!」
「何、驚いてるのさ。相変わらずプローリアはおもしろんだから」
鹿が角でプローリアをやさしく小突いた。
「ち、ちがうの。シカさん。プローリア、コトバがわかるの」
「えっ、そうなの?」
「うん。それにスガタがニンゲンさんにミえるの」




