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仲間



(1)

「ダルス王子が、ダルス王子が、別人になっちゃったよー」

 私はおばばの家で荒れていた。ソシアはなにもできず、ジェシカはお茶をいれてくれたが、私はそれに手をつけず、マルカランは場を収拾できずあてもなく動き回っている。おばばはするどい眼光で私を見守る。

「私、守ってあげられなかった。ざんざん私のこと守ってくれたのに。今度は私が、って、お医者さまから言われてたのに、外的ショックに気をつけろってさんざん言われてたのに、それなのに、私は、彼を守れなかったー」

「落ち着け、小娘!」

 恫喝された。

「お前が今、ここで騒いだところでどうにもならん」

「プローリア。今お前にできることはなんじゃ。やらなければならぬことはなんじゃ」

「……」

「それをしっかり考えなさい」

「……はい」

「ダルスのことは残念じゃったな。だがこれでわかったことがある」

「なんでしょう?」

「わが国 食医エメラルダさまが、コウリア国第2王子を次期王にするため画策せんとしていることじゃ」

「あっ、そういえば」

「なんじゃ?」

「エメラルダは、ちかぢか行われるコウリア国料理コンテストの審査員に抜擢ばってきされているんです」

「そうなのか……そういえば、わしはそなたの旅の目的をまだ聞いていなかったな。よかったら聞かせてくれぬか?」

「はい……」

 私はここにいたるまでの旅の経緯とこれから目指す場所等の説明を、おばばにした。


(2)

「よーくわかった」

 おばばは、破顔した。

「しかし黒装束の一件といい、このまま旅立つにしても、子どもと猫1匹ではなんとも心細い」

「ええ」

 私は納得した。

「プローリアさん」

 ジェシカだった。

「私にお供させてください」

「え?」

「私はご存知の通り武術の腕前があります。女手独りでここまでやってきたんです。そんじょそこいらの男どもには負けませんよ」

「でも……」

 せっかく町の子どもたちやおばばと和解したのに。

「プローリア。お前の言いたいことはわかる」

「え?!」

「案ずるな。ジェシカの帰る場所はここにある。わしらはいつまでもこの町でジェシカの帰りを待っておる。安心して行ってまいれ」

「ありがとう。おばば」

「ありがとうございます。おばば様」

 ジェシカが言ってそれに私もつづいた。


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