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これから

(1)

 レストランでテーブルを囲む、茶を飲む私たち面々。そのメンバーは、もちろん私、ソシア、マルカラン(かごに入ってます)、そして……ダルス。えらそうに地図を広げる。

「ここから、北に行けば、アイダル国最大の都市、『スファン』。ここまでくれば、プローリアの古里はもう少しだな」

「ええ。でもその前に、ダルス王子(人前では敬称をつけると約束した。だっておかしいですもの。それに怪しまれますもの、二人のこと)。王都へ手紙は送りまして?」

「まだだが」

 私たちと同行する旨を書いた王子の手紙のことです。

「そしたら、私の手紙も一緒に送ってほしいのです」

「よいが、どのような?」

「書物室の『ストワリー』に、つうき香のことを調べてもらいたいのです」

「なるほど。そうか。よーくわかった。一緒に送っておこう」

「ありがとうございます」

 そしてダルス王子は急ぎ速達の手紙を王都に送った。


(2)

 アイダル国最大の都市、スファン。城も城下町も高い塀に囲まれた丸い形の城塞都市です。朝から馬車をとばして、日没の閉門にぎりぎりセーフ。


 翌朝。

 「ここの城で姉が働いてるんだ。せっかくだから挨拶してくる」というダルスを見送り、私たちは宿にて待機。こういうとき身分の違いをとても感じます。

 ソシアとマルカランと城下町を探索。気のせいか男の子の子どもが少ないような……。

 宿に戻りましたら、なんだかソシアの様子がおかしいんです。

「すごい熱」

「ん~、ん~。苦しいよ。プローリア姉ちゃん」

「しっかりして」

「びゃニャーン」

 氷水でタオルをぬらし額を冷やします。心配してきてくれた宿屋のおかみが言います。

「こりゃー流行はやり病かもしれないね」

「流行り病とは?」

「この町でここ最近流行してる原因不明の病気さ。子どもの男の子だけにかかる。効果的な治療がなくて病院も医者もてんやわんやさ」

「そんな……」

「プローリア姉ちゃん」

 私はソシアの手をギュッと握る。

「大丈夫。私が絶対なんとかする」


 医者にみてもらったら、やはり流行り病の可能性が高いという。有効な特効薬もない。とはいえ、いてもたってもいられない私は、薬局に行って解熱剤と漢方薬を買ってソシアに飲ませる。……が、やはりこれといった効果はなにも表れない。様子を見にきたおかみが言う。

「あんた。祈祷師のおばばをあたってみたらどうだい」

「祈祷師とは?」

「この町じゃ、有名なおばばさ。何代もつづく家系で、私の祖先もなにかとお世話になってる。悪い事はいわないおばばに頼んでみるんだね」

「ありがとうございます」

 私は、マルカランと急ぎ祈祷師のもとに向かった。


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