お触書 4
読んでいただきありがとうございます。
夜9時。
「ゴーン」
鐘が勢いよく鳴らされた。
夜会は終焉のフィナーレを迎えた。
合格者は王子から直接指輪を渡されるらしい。
しかし、そのような話は今のところない。私からしてみれば、・・・やはりっ。
昼間の話を思い出す。
ひょっとして、女性たち・・・。
第2王子の魔の手に・・・!
パーティーの後片付けをしている最中、使われていない客間から、女の子のすすりなく声が聞こえた。
近寄ったら、女の子が泣きながら出ていった。
奥から男の声が聞こえる。
見れば、あの第2王子だ。
こいつめっ!しょうこりもなく。
目が合った。
「誰だ。お前は?」
「調理場で、cookをしております」
「そうか。丁度良い。注文があったのだ。こちらに来て、耳を貸せーい」
私は全裸で下にシーツを羽織る第2王子に、しぶしぶ近付いた。
「見たな」
「えっ」
私は、ぐいっと、手を引っ張られてそのままベッドに押し倒された。
「俺の悪事を知ったお前を生かしてはおけん。口封じだ」
そう言って、第2王子は私に覆い被さった。
「いや、やめてください」
「ほう。こう見るとお前なかなかいい女だな。ヤバい、・・・くすぐる」
第2王子は舌を出して、自分の唇を舐めた。
私は背筋が、ゾクッと、した。
「バタン、ドカン」
?!
すごい音がして、人が入ってきて、そのまま第2王子をひっぱたいた。
私はというと、その人に抱き寄せられている。
「お前が何をしようと勝手だが、この女に手出しすることは許さん」
「ま、まさか。お兄様の心に決めた人、というのは・・・」
第1王子が頬を赤らめた。
そして私をそのまま、ぎゅっと、抱き締める。
そ、そんな。
後宮料理人の私は、第1王子を決める花嫁パーティーの終焉で、その当事者王子から逆プロポーズされてしまった。どうしよう?!
続く