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旅立ち
「いってらっしゃい」
寮母に挨拶を済ました。隣りにはソシアがいる。古里に行くことを打ち明けたら最初、「僕も行く!」と、ごねて断ったのだけど、よくよく考えたら、女の一人旅は心もとない。それで、イエスを出したのだ。……ジュエッタにはなにも言っていない。事が済むまで(料理コンテストのことです)は、我関せずのほうが良いのだろうと判断したのです。それに、私がいないことの説明は、きっと料理長たちからあるでしょうから。
その変わりに、「マロエル」ちゃんに会いに病院に行った。
「お姉ちゃん、久し振りね」
「元気だった」
「うん」
なんとかなればいい、と祈る気持ちでハグして病院を後にした。それから「ストワリー」に会った。普段書物から顔を離さずに喋るくせにこのときばかりは、顔を上げたので、少し、うるっとなった。
「気をつけなさい。上を目指すということはそれだけ、反感をかう者も現れるよて」
「はい」
そう返事したものの誰のことをいっているかは、私にはわからない。リオン王子様とダルス(一応)にはなにも言わないことにした。永遠の別れでもないし、また帰ってくるのだから。行って帰ってなら3泊4日。その程度の旅なのだから。それでは皆さん、わたくし……
「いってまいります」




