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その8 不安

翌日、なんだか落ち着かなくて早くに目が覚めてしまい、メルと共に薔薇園を散歩する事にした。

ヒロインと和解を目指して頑張ろう、なんて言ったけどやはりシナリオを変えることなんて出来ないのではないかとすら考えてしまう

もし自分の思いとは裏腹に「ユーフィリア」としての行動をしてしまったらどうしよう、とか何もしなくてもゲーム通りにみんなから嫌われるんじゃないかとか頭の中に浮かんでは消える

いっそメルやお兄様に「私を嫌わないで!」と縋りたいくらいだ。


「ねぇ、メル」


不安で押しつぶされてしまいそうで後ろを歩いているメルに話しかける

きっと今、私はみっともないくらい惨めな顔をしているだろう

ただ、ヒロインに会うそれだけなのに笑えない。自分はその子が原因で死ぬかもしれないのに笑える訳がない

それでもメルに話しかけてしまったのだからどうにか言葉を紡ぐ


「貴方は私を嫌いになりませんわよね」


嫌わないで、ということが出来ずに問いかけてしまう

突然の問いにメルは珍しく驚いた表情をしてみせた。呆れられたのかもしれない、と心の中で溜息を吐く


「今更どんな我儘を言われてもお嬢様を嫌いになりようがありません、そんな事で悩んでいらしたのですか?」


「そ、そんな事でって私は不安で……!」


「でしたら、処刑される事になる前にお嬢様を連れて逃げて差し上げましょう」


だから大丈夫ですよ、と優しい声が聞こえて思わず泣きそうになった。


「それは素敵なお誘いですわね!…さて、部屋に戻りますわよメル」


ありがとう、とメルに小声でお礼を言うとメルはまた驚いていた

そんなメルをよそに私は弱気になるなんてユーフィリアらしくない、少しは強気で行こう!と自分を鼓舞した


部屋に戻って私は頭を抱えてしまうほどの選択を迫られていた


「う〜ん、クリスティー叔母様が用意してくださった服はどれも素敵で選べませんわ……!」


私の好みを熟知している上にセンスのいい叔母様が手配したドレスはどれも素敵で1つに絞ることが出来ない

絞れなかったから私がどれを着るか任せてしまったからかこっち?それともあっち?とオスティン家のメイドさん達が議論している


「ユーフィリア様にはこの紫のドレスがお似合いかと!」


「いいえ!ユーフィリア様にはこちらの濃紺のドレスです!」


「こちらの赤いドレスなんていかがですか〜?」



3人の着替えを手伝ってくれるメイドさん達がおススメしているドレスのうち赤いドレスを選び着替えを手伝ってもらう

申し訳ない気もするが令嬢である以上手伝ってもらうのが普通なのだから仕方がない

着替え終わるとカミールお兄様が待つ部屋へと案内される


「お待たせいたしましたわ、お兄様」


「いや、よく似合っている。もうじきノアも到着するはずだ」


いよいよヒロインとご対面というわけだ。

つねに冷静に、気をつけて行動しよう、と心の中で繰り返した

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