その7 兄と妹
「それで、学院について何が聞きたいんだ?」
出来れば攻略対象キャラについて詳しく!と言いたいところだが現在学院にいるのはカミールお兄様とノア・ネヴィルのみで残りのメンバーは私と同じく来月から入学、といった感じなので詳しくは聞けない
しかしお兄様とノア・ネヴィルは割と仲が良くてよく一緒に行動をしているはずなのでそこの情報は聞けるかもしれない
「私、お友達が出来るか不安で……!お兄様の仲のいいご友人についてお話を伺いたいんですの」
「俺はノアというネヴィル伯爵家の嫡男と仲良くしている」
それ!それが聞きたい!と心の中で叫びをあげる。やはりゲーム通り2人の仲は良いらしい
ゲーム内でもヒロインはノアから自分の親友としてカミールを紹介されて出会い恋をする
つまりノアについて詳しく聞けばバッドエンドを回避する方法も見えてくるかもしれない
「そういえばノアが妹分が入学してくるとうれしそうにしていたな」
間違いなくヒロイン「ノエル」だろう、そうなんですのねと相槌を打つ
「あら、じゃあユーフィーとその子を会わせてみたらいいじゃない!」
きっといいお友達になれるわ、と笑うクリスティー叔母様の突然の提案にお兄様も「たしかにそうだな」と頷いている
え、ちょっと待って!?学院入学前にヒロインと会えですって!?まだ覚悟を決めたばかりなのに!
「そうと決まれば今日は家に泊まって行くといいわ!ジーク様も喜ぶでしょうし」
「い、いえクリスティー叔母様、流石にご迷惑をおかけでしてしまうので……!」
「いいのよ、ユーフィーは可愛い娘なんですもの!」
そう言うと直ぐにクリスティー叔母様がメイドさんに言いつけ家に連絡を入れてしまい半ば強引にお泊りが決定してしまった
「明日、ノアとその妹分が屋敷にくる。仲良くなれるといいな」なんてお兄様は言っているので会いたくないですなんて言えないし…。
私の為に紹介してくれるのだから好意を無駄にはできない、せめてヒロインに嫌われないように努めよう
もしかしたら明日全てが狂っていくかもしれない、ヒロインと出会って優しいお兄様も、もしかしたらメルだって私に冷たくなるかもしれない
「せめて、常に笑顔でいれるようにしなくてはいけませんわね」