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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

超絶根暗な私に完璧王子の彼氏ができるなんて!!?

作者: ゴリラ

第1話(最終話)涙のワケ

彼は私にはもったいないくらいの人です。


頭が良くて、それをひけらかすこともしないで誰とでも楽しそう会話してました。彼と話すと自分まで賢くなったかのように感じましたし、彼も私も子供のように無邪気におしゃべりしてたようにも感じました。


それに優しいんです。彼。本当に。私の悩みを聞いてくれるし、ちゃんとダメなところは叱ってくれるんです。


運動もできますよ。なにをやったって上手なんです。彼が苦手なスポーツなんてないんじゃないかなって思います。


見た目だって文句のつけようがないですよ。私みたいな女が隣にいるのが恥ずかしいです。


最初は彼の彼女でいることが信じられなくて、重圧にさえ感じました。別れようとさえしました。でも彼は何度別れを切り出しても断ってきて、何度も泣きましたが徐々に私の気持ちも変わっていきました。


彼に恥じない女になろうって決めました。彼を支えられるようになろうって。


勉強もしました。医大に進んで人を助ける、生かす仕事に就きました。勿論彼ほど頭は良くはないですが。


運動もしてます。朝はジョギングするのが日課になって、長距離走に関しては彼に追いつけるようになったんです。


エステ、ヨガに通って、少しでも彼に見合うような姿になれればと思っています。姿勢、昔と比べたらとても良くなってるでしょ?


そうしていく内に周りの人からも頼られたり、よく声をかけてもらったりすることが増えて、友達もいまではたくさんいます。自分にも自信がもてるようになったと感じます。


私がここまで変われたのも彼のおかげだと思います。彼には本当に感謝しかないです。


ただ、神さまは残酷です。


彼と私が付き合って7年。そろそろ結婚しようかと彼からのプロポーズがありました。まだまだ彼の隣に立つ女には相応しくない私でしたが、人生で一番の幸せな瞬間でした。


その次の日です。彼が子供を助けるために事故に遭ってしまったのは。彼らしいといえば彼らしい行動でしたが、私の人生一番の悲しい出来事でした。


その事故のせいで彼は全身不随の状態になってしまいました。彼の体は動かなくなってしまったんです。なぜ彼がこんな目に遭わなければならないのか、彼がなにをしたのかと神さまを呪いました。


彼は事故から変わりました。仕事は続行が不可能になり、半ば自暴自棄に。笑顔は無くなり、怒ること、泣くことが増えました。私へつらくあたることもありました。怒鳴り、詰り、罵り、問い詰め、最後には嗚咽だけが彼と私の間で響きました。


それでも彼の身の回りのお世話は全て私がやりました。そんな日々が続き、私も仕事をこれまで通りに続けることができなくなり辞めました。彼を責めたことは今でも私の心に後悔として残っています。


仕事がなくなり、彼のお世話が増え、いつしか私もおかしくなりました。


ただ、そんな私の心に残っていたのは彼への感謝でした。


今でも彼は私にはもったいないくらいの人です。


そもそも彼がいなければ今の私はいません。勉強もせず、運動もせず、自分を磨くこともせずに過ごしながら堕落した人生を送っていたと思います。


ここで彼を見捨ててはいけない。そう感じたんです。


彼が楽しめることを考えました。見たり、聞いたり、嗅いだり、感じたり、味わったり。彼の五感が消えたわけではないことに気づきました。


映画や音楽は勿論。窓を開ければ日の光が眩しいと思いますし、風の冷たさを頬で感じることだってできます。


中でも私が彼に楽しんでもらうために一番力を入れたのは料理です。


食欲はどんなになっても湧いてくるものです。それこそ事故当初はなにも受け付けなかったのですが。


彼の目の前で切り、刻み、捏ねて、煮て、焼いて。そうすることで彼には食材を見て、音を聞いて、匂いを嗅いで、熱を感じて、最後には味わってもらえるんです。五感を全て使って彼には生きているんだとわかってもらいたかったんです。


彼と付き合って泣いて、彼が事故に遭い泣いて、泣いてばかりでした。私の作った料理を食べた彼は泣いて、私も嬉しくて泣きました。ここからまた変わるんだと。


それから私は毎日彼と料理をしながら。変な言い方ですかね?でもいいんです。彼と料理しながらおしゃべりして食事をして。幸せに暮らしてます。


私の人生は涙を境に目まぐるしく変わってきました。それこそ良くも悪くも。ただ最後には良くなります。


彼は私を変え、私は彼を変え。そうしていきながら二人で暮らしていきたいです。


彼は私にはもったいないくらいの人です。


とても食べられませんよ。




TV「実録!!全身麻痺の彼氏に彼氏自身の肉を食べさせてた女!!!」より

無駄に長尺。

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