認めたくない。
あれから何日経っただろうか。
あの日の夜会以降、ティナは正体不明のの動悸と不安や葛藤が混ざりあったなんとも言えないような感情が身体中に渦巻いていた。
自室でぼーっとする事が多くなり、侍女達を心配させてばかりいる。
ーー正体不明の動悸
それは言わずもがなティナ自身がその正体をよく知っていた。
(そう、これはーーこの動悸は、、)
認めたくない。
認めたくはなかった。
机に顔を突っ伏しておもう。
だって、思い出してしまうから。
前世を。
あの苦々しい記憶を。
あの時と同じ感じがした。
(もう、恋はしないとーー誓ったのに。)
その誓いが簡単に破られるような衝撃だった。
また、繰り返してしまうのではないかーー。
ティナの脳裏で警戒しろとでも言うようにサイレンが鳴っている。
しかしティナのなかにはあんなに固く誓った誓いからようやく乗り越えられる安堵がたしかにあった。
あの時と同じだ。
◇◇◇ ◇◇◇
「ねえ、ティナ。あなたこの前の夜会突然会場から消えてしまったそうね」
午後の穏やかな時が移りゆく頃、漸くあの時の記憶に封印の二文字をして、久しぶりにお母様とお茶を楽しんでいるとなんでもないようにお母様は爆弾発言を落とした。
漸く封印したと思ったのに、こうもはっきりと言われれば嫌でも思い出してしまう。
思わず口に含んでいた紅茶を噴き出してしまいそうになる。
「……申し訳ございません。少し、体調が優れなかったものですから」




