とある貴族令息の窮愁2
『とある貴族令息の窮愁1』は8/26に加筆修正しています。少しだけですが…。
気になる方は、見てみて下さい。
1、2文足したり言葉少し変えただけですが良かったらどうぞ。
吸い込まれるように視線をむけた先には眩いばかりに輝く人が見えた。
見えた人物は四人。
この社交界で知らぬ者はいないと言うほどにいろんな意味で有名だった。
少し控えめに微笑んでいる人はノエル・オールウェイ・アルファード嬢。
四大公爵家の一つ、アルファード家のご令嬢で物静かで謙虚な美人だ。
ジュリア・クロフォード・ブランデル嬢はブランデル伯爵家の一人娘で、幼さを残した可愛らしい顔立ちと愛くるしい笑顔が特徴的だ。彼女は伯爵家の一人娘という事も相俟って、嫡子以外のいわゆるスペアと呼ばれるような次男三男の貴族令息に大人気だ。
ミラ・ブロード・カールソン嬢の生家は子爵家で他の三人の令嬢達よりも身分が些か低いが、それを補って余りある容姿と頭脳は子爵家という身分を凌駕している。
クリスティナ・リーフェル・ウィンザー。
きっと貴族なら誰もが聞いたことあるであろうその名。四大公爵家の一つ、ウィンザー公爵家のご令嬢。ウィンザー公爵家は国王の覚えめでたく、今最も栄えていると言っても過言ではない。
そのウィンザー家の掌中の珠であるクリスティナ嬢は本当に誰もが見惚れてしまうような美貌で社交界の注目を一番に集めている。
ある者には慕情を。
ある者には嫉妬を。
ある者には憎悪を。
注目を集めている分、いい感情ばかりが向けられる訳がない。誰かに想いを寄せられる一方で、その倍は妬み嫉みを向けられる。それが社交界の怖さと言うものだが、彼女はそれをもろともしない。いつでも胸を張り気高く、高貴なさまは僕も感心を覚えるほどだった。
そんなクリスティナ嬢だが、もちろん男達に大人気であるのは想像に容易い。
多くの猛者どもが彼女を口説きにかかったらしいが、全てかわされ、茫然自失となって終わったそうだ。
どれだけ男が口説いても靡かない気高さと神秘性が彼女の魅力を引き立て、さらに男達が彼女を落とそうと躍起になる原因となっているのだが…果たして彼女は気づいているのだろうか。
彼女達……クリスティナ嬢を含めた壁際に佇む四人は男嫌いと有名だ。
いろんな意味でと言うのはこのことを意味していた。彼女達に袖にされた男達は数しれず…。
しかし彼女達の人気はとどまることを知らない。
現に彼女達はそれぞれ花に例えられ、男達の間ではその花を送ったり、自分が身につけることで彼女達に意識してもらうといったことが流行している。
しかし、当の彼女達は自分達が好きな花を送られて嬉しそうにしているだけで、花を送る意味には気づいていない。まして、男がその花を身につけていても、偶然身につけている程度にしか思っていなさそうだ。
いや、気づいてすらないーーとは思わないでおこう。
ちらっ、と僕の隣にいる男を見やる。
こいつは、確か、伯爵家の長男で嫡子だった男だ。
彼もここに集まっているため例外なく、薔薇をかたどったネクタイピンをしている。もちろん、中央には他の色など考えられないと言ったような鮮やかな青だった。
青薔薇。つまり、この男はクリスティナ嬢を狙っているのだろう。
他にも百合のような形をしたネクタイピンをつけている者やカーネーションの刺繍が入ったハンカチーフを持っている者もいた。
彼女達は花に例えられているため、花を身につけるとなると男は身につけられる物が貴婦人用と比べて少ない。そのためかぶってしまうのは仕方がないことなのだが、矜恃がある者は貴婦人用のような物やデザインになってしまうのもしばしば。
だが、隣の伯爵令息はネクタイピンだ。
実はネクタイピンが最も人気で、僕も良く目にする。
そう思いながらもう一度気になって隣に目を向けようとすると僕の前、彼の斜め前にいる人物が彼をちらっと見やり、少し忌々しそうに目を細められた。
その人物は今度はでっぷり太ったオヤジにさらに忌々しそうな目を向けていた。
その人物ーークリスティナ嬢の兄ルイス殿はずっと会場で四人に下衆な視線を送っている者達を威嚇していた。
僕は、大変だなぁ…と、どこか他人行儀に彼を少し見ていた。
いやだった夜会が彼女達とルイス殿のおかげで少し楽しめた時間だった。
ありがとうございました(^-^)
今思ったのですが、これって閑話なのかなぁ〜??




