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あらすじ(アキと幸福の魔法使い)
この不完全世界では、願いが叶ってさえ幸福になることはできない。魔法を使ってさえ、幸せになることは。――それでも一人の少年はそれを信じて、あることを願った。世界を優しいままにしておくために。
中学生になった、水奈瀬陽。少し背がのび、短かった髪は長くのばされ、全体に大人びてはいる。それでも基本的な部分はあまり変わっていない。相変わらずの明るさや、その行動の仕方については。
彼女は文化祭の前日、学校であった〝四つの奇跡〟についての話を知る。一年前、同じ文化祭の期間中に起きた、奇妙な出来事――消えない虹がかかり、空から飴玉が降り、階段に絵が現れ、象が迷い込んできた――ことを。その出来事について調べるうち、彼女はいくつかの奇妙な事実を発見することになる。そして今年もまた、別の〝四つの奇跡〟が繰り返されるのだった。アキはそこに、魔法に似た何かを感じるのだが。
(11/6/19~11/7/28)