1/205
あらすじ(ハルと永遠の魔法使い)
かつて世界は完全だった。幸せも、優しさも、何もかもが。それは生まれる前の卵が夢見るような、完全な世界だった。けれど、人はそこをあとにした。そして多くのものを失ってしまった――魔法も、その一つだ。
宮藤晴は小学校五年生の、大人びてはいるがごく普通の少年である。もの静かな表情をして、それでも顔にはまだあどけなさが残っている。その雰囲気にはどこか、上品な人形を思わせるところがあった。
彼は新学期のある時、クラスでトレーディングカードを盗んだ犯人扱いされてしまう。全校集会中に、ただ一人途中で退席したためだ。無実の訴えもむなしく、カードをなくした持ち主は納得しない。すると、同じクラスの少女が彼の味方をすることに。そして宮藤晴は彼女、水奈瀬陽と不本意ながら犯人探しに乗りだすことになる。
……けれどそれは、この少年の秘密に関わる、ある大きな事件の一部でもあるのだった。
(07/1/19~07/5/14)