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ディーンとディノが遥を風龍の長の元へ送ることになった。ディノが言うにはディーンだけだとまた迷子になりかねないということらしい。もちろんそれに対してディーンは猛反発していたが。

界をいくつか渡り、ある次元に出た。はるか下に雲があり、海と大地が見える。

(はあ!?なんでスペースシャトルから見た地球みたいな映像が目の前にある!?いや!そもそも宇宙空間になんであたしは存在してられるんだ??)

ドラゴンの存在をスムーズに受け入れたわりに、自分の生存に関するところで疑問を感じている遥だった。

「ここが、それぞれの龍の長達が住む星だ」

ディノの声に遥が我にかえる。ディーンはといえば黙っている。どうやらディノが付いて来ているのが納得いかず、いまだに拗ねているようだ。

「それぞれ?」

「おう。火、水、土、風のそれぞれの属性を司る龍の長だ」

「ほう」

「長の結界に入ります」

遥の目前に紗のような幕がみえる。そして何の抵抗もなくすり抜けたあと、ドラゴンたちは降下をはじめた。

峻厳な山とその周りに深い森が見え、その山に向かってドラゴンは飛んで行く。山肌にある大きな穴に二匹のドラゴンは入り込んだ。

「ドーン様!」

「おお、よう来たの。話は届いておるよ」

穴の奥から出てきたのはディノより一回り大きく、鈍色のウロコを持ったドラゴンだった。

「ヨウ、我らの長、ドーン様だ。」

「お初にお目にかかる、風の長殿。ヨウだ。お知恵を貸して頂けると嬉しいんだが」

「ようこそといいたいところなんじゃが、それはお客人には不本意じゃろのお」 

「いや、貴重な体験をさせてもらって、かなり楽しんでいるところだ」

「ほほ、ディムのいっていたとおり、なかなか剛毅なお方のようじゃの。そういって頂けると、こちらも助かる。じゃがの、お客人」

そこで言葉をきって長は真正面から遥の目を見据えた。

「覚悟は出来ているよ、長殿」

そういって遥はふっと笑う。長殿は息を吐いてから言い切った。

「ふむ、でははきと申し上げよう。お客人が帰れる可能性はない」

「わかった」

「そんなあ!ほんとうにないんですか?」

ディーンが悲鳴のような声をあげる。

「ないの。お客人のほうが物事をきちんと見ておられるようじゃの」

「どういうことですか?」

 デイーンは、その大きな頭を遥に近づける。

(パクリとやられそうな気になるから、顔を近付けんでくれ!)

デイーンの鼻面を軽く手で押しやった遥は自分の考えを話だした。

「長殿、間違っていたら訂正してくれ。あなた方は空間と、時間の座標軸を使って界を渡っている。そうだな?」

ドラゴンたちは一様に頷く。

「私がいた世界には結界がはってある。それは‘外部からの侵入者を防ぐためのもの’だ。おそらくなにかで結界が歪んで、ディーンはその隙間を通ってしまった。けれど歪みなんて物はすぐに修正されるようになっていた。でなければ結界の地なんて言わないだろう。もちろん侵入に対しての結界だからディーンは外に出ることが出来た。そして結界は正常に作動しているから場所がわからなくなってしまった。侵入者に対しての結界ということなら、あなた方が張った結界ではないだろう。おそらくは私の世界の人間、それももう存在しない者のだ。ならば結界を解くすべはない。まして座標がわからなければ話にならない。もどるためには、空間と時間の正確な座標と、一瞬でも結界を解くことができる者が必要なわけだ。長殿が戻れないと言ったことで推測が間違ってなかったことがわかった」

「そういうことじゃの」

遥の頭上に塩辛い水が落ちてきた。遥が慌てて場所をずれ、見上げるとディーンが泣き出していた。

「おい、ディーン!お前が泣いてどうするんだよ!泣きたいのはヨウのほうだろうが!」

ディノがしっぽでディーンを叩いている。

「だぁってぇ…」

遥は喧嘩をはじめたドラゴンを放置する。

(んな、でかい者の仲裁なんざできるか!プチッと踏みつぶされるのがオチだっての。)

遥はそろそろと長のほうへと歩みよる。

「私が紛れ込んでも大丈夫そうな世界はあるだろうか?」

「フム。いくらでもあるがの。なんぞ希望はあるかの?」

遥の希望を聞き終えた長はしばし考えたのち、長が住むこの世界にしてはどうだろうかと勧めた。遥のバックアップも無理なくでき、遥の希望にも添うからと。

「ざっとこの世界の概要をお話しようかの?」

「ああ、そうしていただけると助かる」

長は頷いて長の住むこの星の話を始めた。

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