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「ほれ、町の城門だぞ」

 前に乗るイサクから声がかかる。

「ああ、そうだ。身分証も落としたみたいなんだ。中にはいるのに何が必要になる?」

「そりゃ大変だ!」

「仕方ない。私の失敗だ」

 ヨハンの心配そうな様子に遥は肩をすくめて答える。

「証を立てられない者が中に入るには保証金一人頭銀貨1枚掛かるぞ」

 こちらも心配そうな顔をしてノルドが遥の質問に答える。

「アチャ、それはかなり懐にいたいな」

 一日だけのことと金額を甘く見積もっていた遥は保証金の額に顔をしかめる。

「中で組合に登録するといい」

 ニコニコとイシュが助言する。荷馬車は入城街の列に並んだ。中に入るまで暫く掛かるようだった。

「組合?」

「ああ。冒険者組合。商人組合。職人組合。色々ある。組合通りにそれぞれの支部が並んでる」

「なるほど。それで組合に登録して身分を保証してもらうんだな?」

「最も登録料が要るがな?」

 ニヤリとノルドが笑う。

「……安いのは?」

「そりゃ、冒険者組合か傭兵組合だろうなぁ。後は闘士組合か?」

「とうし?」

「大きな街毎に闘技場があってな、闘技大会が開かれる。闘士組合に登録してれば出られるんだ」

「ああ、その闘士か。組合は兼業できるのか?」

「おう。闘士組合のやつは大体が冒険者組合か傭兵組合に所属してる。闘士組合だけのやつは騎士や従士、衛士なんかどこかの家に雇われてる者達だな」

「なるほど。それで組合に所属したらどうなるんだ?」

「門で預けた保証金が全額返ってくるぞ」

「理解した。教えてくれてありがとう」

 全額戻ってくるというノルドの言葉にほっと胸をなでおろした遥だだった。

「どういたしまして。それでどうする?」

「先に登録を済ませるよ」

「身分証の再発行はどうするんだ?」

「身の証を立てるのが面倒だろ?連絡に時間がかかりそうだし。組合の登録証でなんとかする」

「ああ、そうだな」

「用事を済ませたら一旦国に戻るよ」

「それがいいな。門に着いたぞ」

「助かった。イサク、ヨハンありがとう」

「「ありがとう」」

「いんや〜こっちこそ手伝ってもらって助かっただよ」

「あんがとなぁ」

「三人はこっちに来てくれ。手続きするから」

「ああ、解った」

 遥か達は荷馬車を降りると馬を降りたノルドの後に続く。イシュは馬二頭を見習いらしい少年に引き継ぎ、ノルドの隣に戻った。

「ここが衛士の詰め所だ。入ってくれ。イシュは街道のぬかるみの報告を頼む」

「わかった」

 部屋にある机の一つに向かい、イシュは報告書を書き始めた。

「さて三人は、書類を書くから質問に答えてくれ」

 ノルドはもう一つの机の引き出しから用紙を取り出して机の上に置くと、椅子に座った。そして遥達から名前、出身地、滞在理由を聞いて書類に書き込んでいく。

「ほい。後は保証金だ」

 遥は靴にしまっていた金貨と銀貨を取り出す。

「三人分だ。ちなみにこの街の成人はいくつからだ?」

「一五歳だぞ?」

「子供割引はないよな?」

「ないない」

 遥の様子に懐具合を危惧し始めるノルド。

「そうか……」

「今はな、人が多くなり過ぎてて制限のために保証金の額も大きくなってるんだ」

「なるほどな」

「冒険者組合に登録して少し稼いだらどうだ?」

「う〜ん、いま闘技場はなんか試合はやってるのか?」

「ああ、毎日小さいものならあるぞ。ただ賞金の額が少なくなる」

「なるほど。腹が減りすぎて考えがまとまらん。とにかく冒険者組合で登録を済ませて保証金と取り戻す」

「そうしろ。案内してやるよ」

「俺も行く!これ出してくるから待っててくれ。まだ聞きたいこともあるし!」

 報告書を書き終えたらしいイシュが慌てて奥の部屋に入っていく。すぐにイシュが戻り、遥か達は冒険者組合へと向かった。


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