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「お前!何者だ!」

 ジタバタする土精を抱えたイシュが、遥に向かって叫ぶ。その言葉に遥と龍二頭は顔を見合わせる。

「さて困った。何者かと言われても、身分を証明できるものは何も持ってない。強いて言えばゴセン島の方から来た人間だと言うぐらいか」

 肩をすくめて遥が答える。

「ふざけるな!精霊に何をした!?」

「落ち着け、イシュ」

「ノルド!落ち着いてられるか!」

「すまない、旅の方。精霊がこんな風になるのははじめてなんだ。いつもは、呼ばれてもボーッとしていて、帰れと言えればすぐに消えていたんだ。心当たりはないか?」

 ノルドの歯に衣着せぬ言い様に遥は首をひねりながら答える。

「心当たりと言われてもな。単に精霊に好かれやすい質なんだ」

「あなたも精霊使いなのか?」

「いや。精霊の友人程度だ」

「「は?」」

「なにかおかしいか?大昔は大勢居たときくぞ。今でも全くいないわけでもないはずだ。精霊を友とし、使役しようと考えなければ、あれらはとても人懐こい存在だそうだ」

「そうなのか?」

「……聞いたことなんかない!」

「ふむ、長い時がいろんなものを歪めたか……」

 遥はいろいろな状況を思い浮かべて呟いた。

「何を言っている!」

「いや、ただの憶測だ。気にしないでくれ」

「「そう言われたら気になるだろ!」」

「話せば長くなると思う。ヨハンとイサクはこれから街の市へ行くのだろ?ただでさえ脱輪して時間を食ってるのに、ここで立ち話をして待たせるわけにもいかない」

「あ、ああそうだな。よし、道中、街の詰め所で話を聞こう」

「街に着いたら飯にしたいんだが。一日以上食ってなくてな」

「そうなのか?携帯食は?」

「想定外の出来事があってな、手元にあるのは金と目に見えるものだけだ」

「水もないのか!?」

「ああ。水袋も買わないといけない。街の近くまで来ていたことと金だけ落とさなかったのが幸いだった」

「何があった?」

「風龍だったか?ここの守護龍は?あれに驚いて逃げたらこうなった」

「見たのか!?」

「ああ。いぶし銀のような色合いの鱗だった」

「その話も聞かせてくれ!」

「話すほどのことなんかないぞ?野営をしようとした時に現れて、驚いて逃げ出しただけだからな」

「かぁ〜、いいなぁ。この街は風龍の住まいから近いがめったにその姿を見ることはないんだ。見たら幸運が訪れると言うぐらいだぞ」

「そうなのか?だったら、ヨハンとイサクを助けたのは幸運だったのかもな」

「かもしれんな。さ、街に行こう!飯も奢るぞ!色々聞かせてくれ!」

「ああ。ディーン、ディノ、荷馬車の後ろに乗せてもらおう。ヨハン、イサク待たせてすまない」

「大丈夫だよ。ほれ乗った乗った」

「俺達にも守護龍様の話を聞かせてくれ」

 興味津々の二人に頷きながら遥か達は、荷馬車の後ろのステップに腰掛けた。

「さぁ、いくぞ」

 荷馬車が走り出し、その後ろを騎馬の二人が並足で追いかけ街へと向かった。

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