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足の対価は  作者: sy
13/16

第13話

「俺だ」

『あら赤土先生、お早いですねぇ』

携帯からはいつもながら聞くたびに人をいらつかせる女研究家の声が聞こえる。

「とりあえず“民間人”を1人保護した。お前に引き渡してやる。どう使うかは好きにしろ」

『民間人……赤土先生も結構鬼畜ねぇ、自分が担当している患者さんに手を上げるだなんて』

口を開けば嫌味が飛んでくるこの女が嫌いだ。

「イリエ、それよりも俺の要求は覚えているな」

『えぇ、吸血鬼「サウス」の血清……喜んで差しあげるわ』

「ならばいい、今から彼女を連れてそちらに向かう。」

『了解、あなたが来次第“息子さん捕獲作戦”を始めるわ』

あの女の感情を逆撫でる物言いには反応せずに電話を切った。

堺イリエ、彼女に息子をくれてやれば妻を元に戻すことが出来る。

息子を差しだして妻を救うと言うのは世間的に言えば「人でなし」なのだろう。

しかしあいつはそもそも人じゃない。

人を……まして「妻」を助けるのに化け物を差しだしてもなんら差し障りあるまい。

それに結果的にこの子……化け物にたぶらかされかけた瀬良さんを救えるのだ。

良い事ずくめじゃないか。

唯一気に入らないところがあるとすればあの女の性格くらいだ。前にも会った事があるが女でなければ10発はぶん殴っている。いや、女だろうが1発はぶん殴ってもいいだろう。

ブツを手に入れたら確実に1発ぶん殴ってやろう。


「で、僕とお前で今から吸血鬼狩りに来た人と籠城戦をすると……頭湧いてんのか!?」

瞬のプランを聞いた渦原はなんだか呆れた様子だった。

「敵は吸血鬼専門家、ある程度荒事にも慣れた連中だ」

「うん、だいたいそうだとは思う。で、なんでお前はそんなヤバい奴ら相手に喧嘩売ろうとしてんだ!?」

普通に考えれば瞬の考え方は異常だ。自分たち吸血鬼を捕獲、研究を生業としてる団体との全面衝突。

言うなればマタギ相手に熊が真正面から突っ込んでいくようなものだろう。

「勝ち目ねェだろ普通に考えて!」

「でも逃げてもキリがないだろ?」

「俺はお前がこっから先ほとぼりが冷めるまで逃げ切れる策があるんだと思ってきたんだよ!

なのに来てみりゃ「ここで迎え撃つ」ってどういう神経してんだお前は!?」

「じゃあお前だけ逃げればいい」

そう言って瞬はそっぽを向いた。

1人でも戦うと言う覚悟は決まっているらしい。

「瞬……お前死ぬぞ!? 解ってんの!?」

「そうならねぇように親父が動いてるって言ったろ」

「そうは言っても……というか、瀬良先輩はどこ行ったんだよ、一緒にここ来たんだよな?」

「さっきから姿が見えない。多分親父が連れてってくれたんだと思う」

断るとか言ってたが中々天邪鬼な父親だ。俺が本気だと理解して避難させたのだろう。

「そうか……それならそこだけは安心だな」


「安心な訳ねェだろ馬鹿野郎」


中年の男性の声、ここには瞬と渦原しかいなかったはずだが……

洋館にいつの間にかいたのは白衣の中年男性。寝ぐせを付け、口髭を生やし、いかにも「だらしないおっさん」であった。

「夜な夜な不法侵入してるガキがいるってんで来てみたらテメェか坊主、なんの悪だくみしてやがんだ」

「おっさん……誰だ?」

警戒する渦原とは正反対で、瞬はその男に見覚えがあった。

父と一緒に働いていた医師。瞬を吸血鬼にした男。

「南野先生?」

「名前まで生意気に覚えてやがったか」

南野は口元を吊り上げ悪ガキのように笑った。

「……なんであなたがここに?」

「なんで? ここ俺ん家だからに決まってンだろ。つっても”俺の親父が住んでた家”だけどよ。まぁ権利上俺のモンだから俺がいたって不思議じゃねぇだろうがよ」

答えになっているようななっていないような……

それでも南野は構わず続ける。

「で、その俺の家で戦争おっぱじめようとしてるガキがいるってンだから、俺が来たんだがなんか文句あンのか?」

この男が洋館の所有者だったとは、妙な巡り合わせだ。

南野はその辺に転がっていた踏ん反り返って偉そうに口にした。

「文句はありませんけど……始まっても安全を保証は出来ませんよ?」

とりあえず丁寧に返す瞬。多分口を荒げたところで聞いてくれるような人ではなかろう。

「まずここでおっぱじめようとしてる事を気にしやがれ馬鹿野郎」

「相手が誰だかはなんとなく想像ついてるんでしょう?」

しばらく黙りこんでから鼻で笑い。

「どうせあの気色の悪いパツキンねーちゃんだろ?」

と返した。良く知っているようだ。流石元吸血鬼。

「ま、俺はもう吸血鬼じゃ”なくなった”から関係ねーんだけどよ、しかしねーちゃんも飽きねェなぁ」

「あの~」

瞬と南野の話に付いていけないが、さっきから何か言いたげだった渦原が恐る恐る手を上げる。

そう言えば2人とも渦原の存在をすっかり忘れていた。南野は渦原に目を向け、「なんだ?」と尋ねるかのように首を横に傾ける。

「さっき「安心な訳ねェ」って言ってましたけど……瀬良先輩が避難したらまずい理由でもあったんですか?」

「あ? あー……そうだな。あの嬢ちゃんがいねェのは大分マズいと思うぞ坊主ども」

「どういうことだよ?」


「赤土は研究家とグルだ」



最近色んな事が落ち着いてやや暇になってきたsです。

とりあえず個人的にいろいろ進める事があるのですが急ぎじゃないので余裕ぶっこくことにしました。


前話投稿から半日も経ってませんが何卒

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