表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亡国の歌姫と琴の騎士  作者: 九JACK
Coda.門番
19/31

塔の建設と集落との出会い

 最近、城下から人がよく来る。人死にの報告だ。最近多い。

 しかも、原因不明の不審死ばかり。夕刻に多い。何事だろうか。


 姫様が会いに来た。琴の騎士を探しているという。夕刻の儀でも会えずじまいなのだとか。

 姫様と一緒に探したいところだが、来訪者が多い。門番の役目をおざなりにするわけにもいかない。

 とはいえ、琴の騎士のことが気になるのも確か。隙を見て探そう。


 今日も人死にの報告が殺到した。忙しい。


 王から呼び出された。西方の森へ行くようにとの任を受ける。

 西の海の近くに物見塔を建てるのだとか。要はその下見だ。

 最近は人死にの報告ばかりで気が滅入っていた。他の門番には悪いが、下見ついでに羽根を伸ばしてこよう。西の海の夕暮れは、特に美しいと聞く。


 森は害獣もなく、天候も穏やかで、作業には適しているようだ。

 どれくらいの塔を建てるのかは聞いていないが、物見塔を建てるには充分な広さの場所がある。これなら木を切り倒すこともなく、建設できるだろう。

 仄かに香る潮風が心地よい。ここに塔ができたなら、さぞや気持ちのいいことだろう。

 その日の晩は近くの集落に泊めさせてもらった。


 王に下見の報告をした。近くに集落があることを話すと、そこの住人に協力を仰ぎ、建設を開始するよう命ぜられた。塔ができるまでは門番よりもそちらに集中することになりそうだ。


 集落の者たちは気前よく応じてくれた。小さいながらも集落全体で協力しあって生きているためか、作業能率がいい。

 塔の高さはそれなりだが、さして大きいわけでもないので、一年かそこらで完成するかもしれない。


 塔建設が始まってから、ほとんど集落に住んでいるような感じだ。住人とはかなり打ち解けた。子どもたちは王国の話を聞きたがり、仮宿を訪ねてくる。

 そんな子どもたちに話をしながら、祖国に思いを馳せる。

 あれから人死には増えていないだろうか。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ