7/11
涙
もう生き返る事は決してない。
だったら僕は受け入れるしかないんだ。
人を助けられた事は、せめてもの救いかもしれない。
逃れられない運命。
人生がこんなにも呆気ないものだなんて。
僕の目には涙がたまっていた。
何故だか、すごく悲しくて…。
その時、細いけれど温かい腕が僕を抱きしめていた。
「急に人生の終わりをむかえたら辛いよね。私だってそうだった、私の人生は何だったんだ?って考えた。でもね。私は気づいたの。報われない人生だったけれど、時雨と出会えた事は嘘ではない。時雨と出会えた事は、私にとって大切な思い出。こんな人生だけど、出会えた事は良かったなって思えたの。」彼女は一度そこで言葉を区切った。
そして、続けた。
彼女の悲しい過去を。