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僕がここに居る訳
僕は睦月の顔を見ながらはっきりと言った。
「僕も死んだんだね。」
睦月は、うつむいたまま頷いた。
肩が震えている。
僕は、なにも言葉が出てこなかった。
なんて呆気ないのだろう。
僕は死んだ……
昨日も僕はいつもと同じように自分の部屋で寝ていたというのに。
それが、夢だったというのか?
「僕はどうして死んだんだい?」僕は睦月に聞いた。
彼女は答えてくれた。
「銀行で、強盗に襲われたんだ。幼い女の子を守るために、大怪我をして…。ごめんね…」
彼女は、何故か僕に謝った。
彼女が悪い訳ではない。
彼女は何も悪くないのに。
ただ、僕は死んだ。
その事実が変わる事はない、