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理由
「どうしてなんだい?」僕はもう一度彼女に問いかけた。
睦月は、悲しそうな顔で僕に言った。
「私はね。時雨とあの日遊んだあと、交通事故にあったの。それで、気がついたらここに居た。死んだんだなって、すぐに分かった。でもね。私は時雨との約束を破ったの。また、時雨と遊ぶ約束を。ずっとそれが気がかりだったの。」
睦月の頬を涙がつたった。
僕はそこで気がついた。
僕は睦月の事を忘れていた。
それは、会わなくなって随分時間が経っていたからだ。
会わなくなって…というよりかは、会えなくなってか。
幼かった僕は睦月を忘れていた。
睦月と会ったのはあの日だけだったから。
それなのに、睦月は一度会った僕の事を気にかけていてくれたんだね。
そこで、僕は分かってしまった。
今、こうして僕は睦月と再会した。
そう。
死んだはずの睦月と。
それは何故?
答えは一つだけか。
僕もシンダンダ。