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第伍編


 第伍編



 おばあちゃん




 おまえには、おばあちゃんがいた。


 といっても猫ではなくて人間の、わたしのおばあちゃんだ。


 彼女は植木が趣味で、だから植木を荒らす猫が嫌いだった。




 彼女の晩年に――


 

 徐々に弱ってゆく体を、安楽椅子に落ちつけて、


 「わたしはおまえのことが嫌いなんよ?」


 と、おまえに向かってのたまいつつも、


 猫じゃらしを、取ってはそれをふりふりとやり、


 毛もそろわぬ、小さなお前はむしゃぶりついて、


 ころころ ころころ ころころと、ただひたすらに転がったのだ。


 わたしはそれを、カメラで撮って印刷し、大事に大事に保存した。




 やがて彼女は儚くなり


 葬式で、わたしはその写真を飾った。




 今日もわたしの布団のうえで、ころころ転がるおまえは、


 彼女のことをもう忘れ、思いだしもしないだろう。



 おまえには過去もなく未来もなく――故にもう悲しむこともなく、




 それはわたしにとって、なんと救いであることか。





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― 新着の感想 ―
[一言] にゃー♡
2024/05/27 17:19 退会済み
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