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第4話 2 白崎、仮契約

 それから暫く真知がリリィを使いこなせるように依頼をこなし休みになれば霊地に入り修行の日々が続いた。

 勿論俺は魔人の力を知るために色々とやった。まず無効の力を知るために刺したり斬ったり撃ったり。人間だったら死ぬぞこれ。

 気づいたのはタバコを吸おうとしたときだった。ぼーっとしてて手に灰落としたんだがまったく熱くない。タバコの灰が無効ってわけじゃない『炎熱無効』これが俺の魔人としての能力の1つだった。

 衝撃波の扱いにも慣れてきた。小さいものは空き缶ぐらいから大きいもので2階建ての家を対象に放てる。

 真知も日々の素振りから実戦まで生活の一部のようにリリィを扱っているせいかまさに手足の延長のように扱えるようになっていた。

 最近追加した訓練は俺との稽古だ。並の刀と剣なら刃こぼれ気にしてなかなかできないがデュランダルの模造品にして兄妹剣の2振りは実戦さながらの稽古に耐える。

 まだまだ動きに無駄が多く俺の相手としては不足だがこのまま成長したならば剣術においては俺を超えることもできるだろう。

 本音をちらっと言うが稽古なのに最初から首を狙ってくる真知が色んな意味で恐ろしい。

 そんな感じで平和な日々が続いていた。

 だがある日白崎から電話が入った。

 魔人化と藤堂のことで情報交換をしようというのだ。

 こちらとしても藤堂の情報は欲しい。あいつとはいつか必ず対峙する。

 日中の真知が学校に行ってる間に事務所に来てもらうことにした。

「やぁ蓮見くん、今日も自殺日和だねぇ」

 いきなりテンション下がるような挨拶をされてもう涙目だ。

「死ななくていいからとりあえず上がれ」

 めんどくさくなってとりあえず上げた。チャッピーが最近空気になってるな。

 アロハのようなシャツに七分丈のパンツ、随分ラフな格好だ。

 ちなみに俺は上下スウェットだ。

「来る途中でケーキ買ってきたんだ、よかったら食べてよ」

「お前……いいやつだったんだな」

「ケーキぐらいで上がっちゃう僕の株ってやばくない?」

 やばいにきまってるだろ。

 俺はお前が普段吸ってるケムリがなんなのか知りたいぐらいだ。

「ちょっと待て今皿とお茶だしてくる」

「了解、妖精さんと戯らせてもらうよ」

 そういいチャッピーにちょっかいかける白崎。

 それは妖精じゃなくて魔獣だ。

 お茶とケーキが揃ったところでやっと会話に入れた。


「じゃあ先に僕から情報を開示するよ。魔人の話はこっちからお願いしてるわけだし」

 意外と義理堅い。

 こっちも別に隠すようなことじゃないから先でもいいが白崎の意を汲んでおく。

「まず、藤堂は魔人だ」

「!」

 予想はしていたことだが反応してしまう。

 あの黒い炎は魔人での異能か。

「いつの時点でなったのかは僕にもわからない。昨年飛行機の墜落事故があっただろう?」

 あぁそんなこともあった気がする。

 原因不明で騒がれていたような。

「あれは協会にあいつが犯人だと認定されている。魔人ならできてもおかしくはない」

 それで懸賞金2億か。

「なるほど。魔人の能力はそこまでか」

「千葉にあった僕たちのコミュニティは直接あいつと対峙している。8人いたメンバーで生き残ったのは僕だけ。相手は藤堂ただ1人」

 無効の能力がでかい。どんな能力かは聞いてみないとわからないが。

「会合中に乱入してきたんだよ。会合中とは言っても当時ルルイエとピリピリしていた頃だからね、無論全員武装していた」

 武装した8人の超越者相手に圧倒するのか。

 とんだ化物だ。

「拳銃は効かない、斬りつけてもかわす、あいつは一撃必殺だというのにね。唯一当たったのが僕の異能だ。先日見せたと思うけど杭を生やすというだけの異能さ」

 あれに反応できる人間は少ない。

 いくら魔人でもかわせないだろう。

「当てるのはいいけど効いていたかはわからない。僕はそこで逃げ出した。こいつには敵わない、本能でそう感じ取ったんだ」

 六感が冴えていればいるほど戦力差を見抜ける。

 俺も逃げ出したことがある、それだけに白崎の気持ちがわかる。

「目的は仇討ちか」

「否定はしないよ。でも僕にはあいつを倒す手段がない。突き詰めて言うと僕の目的は魔人化だ」

 妙な熱を持って答える白崎。

 本気だろう。そして唯一答えを知っていそうな俺に白羽の矢を刺した。

「拳銃は効かなかったってAP弾は使ったのか?」

「AP弾どころか炸裂弾までなんでも使ったよ。スーツに穴ぐらいは空いたかもしれないけど」

 となるとあいつの能力は銃弾無効である可能性が高い。

 斬れるだけましだな。

「んじゃ次は俺の番だな。結論から言う、魔人化の条件はわからん」

 ぴしっと固まる白崎。

「そ……そうか……」

「ただヒントはある。俺たちが倒したあのパズズだがあれは不完全なものらしい。そして止めを刺したのは俺、その後昏倒し起きたら魔人だ」

 不完全な神を召喚し倒す、これではないだろうか。

 他にもキーがあるのかもしれないが現状ではわからない。

「危険な賭けになるな……協会にバレれば賞金首だ……」

 神妙な顔でそう言う白崎。

「待て、その前に魔人の能力、異能はどうなっているんだ?」

 少し冷静になったのか質問してくる。

「1つは超越者にもある異能、ただし魔人化している場合威力が桁違いになる」

 心当たりがあるのか頷く白崎。

「2つ目は何かを無効にする能力」

 白崎の頭にハテナマークが浮かんでいる。

 自分の能力はばらしたくないのだがしょうがない。

「例えば俺なら炎熱無効」

 ジッポで自分の手を焼きながら言う。

「分かったか?」

 ついでにタバコを吸う。

「あいつの能力は銃弾無効か……!」

 頭の回転は鈍くないらしい。

「これで俺の知ってることは終わりだ。何か質問は?」

「ない、現状では魔人化は無理と判断した」

 潔い。

「神を召喚するのに何を用意するのか考えただけで吐き気がする!」

 まぁそうだな。魔人になった俺には何も言えないが。

「また同じ儀式を仕掛けてきた場合は協力してくれないか?」

「藤堂倒すのに協力するならいいぞ」

 目的は合致した、これからは協力体制をとることになる。

 だが、白崎は藤堂を倒すことよりも魔人化に拘っているような気がする。

 これはどういうことなのだろう。

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