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第1話 1 日常は邪魔される

導入部分です。妙に長いですが。

 ご機嫌に刀の手入れをする俺。

 昼間に仕事を終えれば大抵夜は仕事が来ない。何時でも何でもを売りにやってはいるが1日に何件も仕事をすると流石に疲れる。

 こうして余った時間をたっぷり趣味に注ぎ込めるのがこの職業のいいところだ。

 ちなみに俺の趣味は読書。はっきり言ってなんでも読む。

 刀の手入れが終わったら何を読もうか悩む。

 そんなときチャイムが鳴った。

「チャッピー、誰かわかる?」

 チャッピーは犬の姿をしているが中身は怪異だ。師匠の贈り物と言ったところだろうか。

 首を左右に振るチャッピー。

 言わなくてもわかると思うがわからないのジェスチャーだ。

 素早く刀を隠し玄関に向かう。

「はーい。どちらさまですかー」

 不用意にドアを少し開けた瞬間足を挟み込まれた。なんだ押し売りか?

「昼間はどうもです。近くまで来たので寄ってみました」

 名刺持っていった女の子だ。何故押し売りのように入ってくるんだ。

 近くに来たから寄るという発想がわからない。友達の家じゃないんだぞ。

 しかし最初のインパクトがでかくて追い返せない俺。

「ハーイ。ドウゾイラッシャーイ」

 普通に部屋に上げてしまう。ちなみにここは俺の家兼事務所なので名刺に記されている。

「駆除士の事務所ってどんなところかなって思ってたんですが普通ですね」

 術師の部屋ならともかく駆除士の部屋はこんなもんだとおもう。

「期待に添えなくて悪いね。珍しいものは特にないかも」

 銃とか刀とかごろごろしてるけど。

「3LDKのマンションに室内犬、お金持ちですね」

 駆除士は仕事頑張りさえすればなかなかいい稼ぎになる。

「あ、そこらへんのソファーに座って。水とお湯あるけどどっちにする?」

 軽く貧乏アピールと早く帰れアピール。

 誤解してほしくないがこの女の子は可愛い、というか美人の部類に入ると思う。

 長すぎないポニーテールにつり目がちの大きな瞳、むしろ趣味だと言ってもいい。

 でも俺的に高校生はNGだ。残念。

「途中コンビニで缶コーヒー買ってきたのでよかったらどうぞ」

 痛がらせを軽くかわされる。そして俺は極度の甘党なのでコーヒーは嫌い。

 でも一応大人なので大人の対応をする。

「ありがたく頂くよ」

 営業スマイルつきで受け取る。

 そろそろ本題に入ろうか。

「ここにきたのは社会見学とかそんな感じ?」

 それぐらいしか思いつかない。

「それもあります。駆除士の仕事ってよくわからなくて」

 公式HPもないような職業だからな。

「昼間みたような害獣を駆除するのがお仕事」

「銃撃って刀振り回して?」

 危ない人みたいじゃないか。

「あれはちゃんと許可されてるんだよ。どうしても必要だからね」

 何か考え込む女の子。そういえば名前聞いてないなぁ。

「あの、つまらないものですがどうぞ」

 一枚の紙を手渡される俺。

 り、履歴書ぉ?

「自己紹介にしては大げさだね……」

 ぱっと目に入ったけど名前は園田真知というらしい。

 ちなみに16歳。アウト。

「バイト雇ってください!」

 突然強い口調で言う彼女。

 何か憧れる部分でもあったんだろうか、ってその前にうちはバイト募集してねぇ。

「突然ですいません。チャンスだと思ってつい……」

「チャンス?」

 反射で聞き返す俺。断りづらくなるからさっさと切ったほうがいいのに。

「合法で刀振り回してる蓮見さんの姿を見てこれだ! って思いまして」

 猟奇的な動機だなぁ。断ったら暴れたりしないだろうか?

「なんか妙な熱意は伝わったから履歴書見て考えるから明日まで待ってもらえないかな?」

 必殺先送り。

「わかりました。ところで蓮見さん」

「ん?」

「あの犬、本当に犬ですか?」

「……」

 駆除士だろうがわからないはずだぞ……

「変なこと言いましたね。今日はこの辺で失礼します」

「あ、うん」

 内心どうあれ営業スマイルで見送る俺。

 さて、どう考えるか。

 直感、これが駆除士になるために最も必要な才能と言われている。

 チャッピーの中身に気づいたのは偶然か否か。

 さぁどうする?

  

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