表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/26

第3話 4 依頼、神または魔神

 会合の終わり間際に奥野さんの携帯に着信があり少し席を離れた。

 少し硬い表情をしていたが誰からだろうか。

 まぁ協会からの依頼だろうが酒の入ってる今日は無理だ。

 白崎と謎の会話をしていると奥野さんが帰ってきた。

「皆ちょっと真面目に聞いてくれ。協会からコミュニティに対する依頼が来た」

 個人宛じゃなくコミュニティ宛、これはでかい話になりそうだ。

 恋ちゃんも白崎も思考を切り替えている。

 真知はいつも通りだ。

「ルルイエ内部からの密告で明後日の深夜2時に中央区の廃ビルにて召喚の

儀式が行われるらしい」

 通常の案件のように聞こえる。

 コミュニティを動員するほどのことだろうか。

「召喚される怪異はパズズと言ってバビロニア神話に伝わる魔神だ」

 息を呑む。

 大物どころの話じゃない。災害レベルの怪異だ。

「信憑性は?」

 白崎が訊く。全員が気になっているところだ。

「ルルイエの活動が散見されるようになってから出た行方不明者のほとんどがその触媒として使われるらしい。パズズと言わなくても大物が出現する可能性は大だ」

「単純に儀式を止めればいい話でしょう。特に問題はない」

 恋ちゃんが身体を震わせながら言う。

「アタシは降りる。人間は殺したくない」

 恋ちゃんはこの手の依頼全てを断っている。奥野さんも織り込み済みだろう。

「うむ、吾輩と蓮見は参加するとして白崎はどうするかね?」

 真知は置いていったほうがいいんだろうか、と考えていると腕をつねられた。

「私もいく」

「僕も参加させてもらうよ。渡ってきたばかりだから実績が欲しい」

 珍しく真面目だ。ルルイエ絡みだからだろう。

「了解した。では2日後に件の廃ビル付近で集合としよう」

 それが解散の合図となった。


 事務所に帰ってきて飲料水をがぶ飲みしているところに真知が質問してきた。

「魔神とかって珍しいことなの?」

「珍しいってレベルじゃないな。召喚に成功した場合下手したら何千人単位で被害が出るかもしれない」

 記録に残っている神話の神を召喚したときの被害はもっと激しいものもある。

「だから召喚される前に術師を拘束して術を止めさせる。頷かなければ殺す」

 端的に行動を伝える。

「それでも召喚されちゃったら?」

「神の駆除をすることになるな。倒せるかはわからないけどやるしかないだろう」

 神系は流石に斬ったことがないのでなんとも言えない。

「神の駆除ってちょっとおかしいね」

 笑いながら言う真知。いや、そこ笑いどころじゃないから。

「何でも斬れるように修行してきたんだからこんなこともあるさ」

 ま、いつも通りだ。


 2日後、廃ビルから少し離れた場所に武装した状態で集合した。

「ビルは3階建てであるがどこで儀式をやっているかわからないので各階全てを制圧するのである」

 分かりやすくていい。

「内部は全員敵、でいいんですか?」

白崎が訊く。

「そのつもりで対処してもらいたい」

 真知の異能について説明しておくべきか。

「あの、私の異能使えば多少楽ができるかもしれません」

 先に切り出された。

 真知の異能について説明を終え廃ビルを目指す。

「まずは1階、真知くんよろしく頼む」

「中に4人、中央付近に集まっています」

「じゃあ僕が切込んでいくから援護射撃よろしく」

 言うとさっさと中に入っていく白崎。

 部屋に入ると同時に太刀を振り上げ手前にいた1人の首を飛ばす。

 合わせて射撃で残り3人も沈黙させる。

「超越者はなしか。上が怪しくなってきたな」

 俺の言葉に全員が頷く。

 上へと続く階段の途中で真知が封印を発動。

「2階は3人ですが封印に気づいたのか動きがあります」

 感覚の鋭い超越者なら有りうる。

「では吾輩、蓮見、白崎で突入。真知くんは援護射撃だ」

 それぞれ右から奥野さん、俺、白崎とターゲットを決める。

「行くぞ」

 一気に入り込む。真ん中の標的が拳銃を構えているが遅い。

 腕ごと拳銃を切り離し返す刀で脳天から斬り伏せる。

 奥野さんはトンファーの一撃で相手の脳天を叩き割っていた。

 白崎は袈裟懸けに相手を斬殺していた。

「異常ないか?」

 全員揃って以上がないことを告げる。

「では本命の3階であるな」

 真知が封印を広げる。

「2人と……よくわからないものが1つ」

 召喚成功しているのか。

「急いだほうが良いな」

 急ぎ3階に到着する。

 ドアを開けるとむせ返るような血の臭いとドス黒い塊が見えた。

「あー誰も来ないって言ってたのによぉ。藤堂のカスが使えねぇ」

 部屋の奥にはあの日藤堂と一緒にいた黒岩という男がいた。

「まだ完全に召喚するには時間が早いがどうします?」

 もう1人、術師と思われる男が黒岩に問いかけていた。

「ここまでだ。召喚をやめてもらおう。でなければ殺す」

 事実を告げる。

「殺す?殺すねぇ。召喚はもうとまらねぇし殺されてやるつもりもない。おいもう不完全でいいから召喚しろ!こいつらブチ殺すぞ!」

 警告なしで術師に向かって一斉に射撃を開始する。

 10数発の弾丸を受けて血の泡を吹き倒れる術師。

「だが、遅かったなぁ」

 笑いながら黒岩が喋る。黒い塊が形成されていく。

 禍々しい音とともに4枚の羽を持った魔神がそこに現れる。

「よし、パズズよ。そこにいる奴らをブチ殺せ!」

 パズズと呼ばれたそれは黒岩に向き直り口から熱線を放射する。

 悲鳴もなく崩れ落ちる黒岩。腹がなくなっている。

「なん……でだ……藤堂のやろう……」

 そこまで言って動かなくなった。

「散開!」

 奥野さんの指示でバラける俺たち。

 あの熱線をくらったらお仕舞いだ。

 奥野さんがパズズの左手側から奇襲をかける。

 2本のトンファーを片手でとめるパズズ。

 まずい!熱線の的になる!

 正面から斬り込む。

 右手1本で受け止められる俺の刀。

 普通には斬れないか。

「2人とも下がって!」

 白崎の指示に従い下がる。

 その瞬間地面から杭のようなものが3本突き出す。

 白崎の異能だろう。

 今度は白崎に向かって熱線が放出される。

 間一髪でかわすが少し足をかすったらしく動きが鈍くなる。

 溜め時間を最小にして斬鉄(仮)を放つ。

 胸のあたりを浅くはない程度に斬りつける。

 奥野さんが再び左手側から仕掛けるがダメージを与えられない。さっきの白崎の杭も効いていないようだ。

 弾き飛ばされる奥野さん。

 隙をついて射撃を開始する真知。だがこれも効いていない。

「左手を吾輩、右側を白崎で動きを止め蓮見が正面から斬る!」

 叫んで飛び出す奥野さんと白崎。

 正面に立っていると熱線が飛んできたがなんとかかわす。

 溜め時間4秒、MAXで斬る。

 1、奥野さんのトンファーが砕けた。

 2、白崎が殴り飛ばされる。

 3、熱線が飛んでくるが真知の最大出力の封印で防ぐ。

 4、大上段から袈裟懸けにパズズを斬り伏せる。

 これでやれなかったら品切れだ‥‥‥

 荒い息をつきながらパズズを見やる俺。

 パズズが形を崩し瘴気の渦となって俺を取り込もうとする。

 体内に瘴気が入り込む。

 ダメ……だ……これ以上は……持たない……

 そして俺は気を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ