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cherry blossoms  作者: 無月藍
4/6

朔良―出逢いの後で―

 俺の目の前に居る、佐伯は下を向いた。表情は分からないけど、きっといろいろ考えているのだろう。


 俺がそう思った瞬間。

「へえ。ふられちゃったんだ。馬鹿みたい。」

 言われたくない、一言。

 その一言は、俺の心を血が出るかと、そう思うほど傷つけた。

(お前に、俺の気持ちが分かるかよ!)

 唇を、噛み締めて、涙を、抑えた。

「何だよ…。」

 自分でも情けないほど、小さな声でつぶやいた。

「え…?」

「何でお前にそんなこと言われなきゃいけねえの!?」

 佐伯…は、小さく口角を上げた…。ように見えた。

「聞こえたの?独り言のつもりだったんだけど。」

(誤れよ!人を傷つけてっ!)

「ふざけんな!誤れよ!」

 佐伯は汚いものを見るように、俺を、見ているように見える。

「誤ればいいの?…ごめんなさい。これでいいでしょう?」

(お前にっ!俺の傷ついた心分かんのかっ!)

 俺は拳を握り締めた。下唇は噛み過ぎて少し血が出ている。

「本当に誤ってんのかよ!」

 最後に、来た言葉は。

「何であなたに本気で謝らなきゃいけないの?」

 氷柱のように、鋭くて。俺の心に突き刺さった。

 佐伯は俺を見ず、桜の木を見ていた。

(俺より、桜の相手すんのかよ!)

「もうお前ふざけるなよ!人の気持ち…考えろよ!」

 佐伯は、そういっても俺を見ず、手の上にのった桜の花びらを見ている。目は、死んでいた…。

 俺は真剣に、涙を止めて佐伯に言った。

「おい!無視かよ!!佐伯っ!」

 俺は絶えられなくなって、佐伯の胸倉を掴んだ。

(殴りたい!この顔を、ボコボコにしてやりたいっ!)

 俺はそんなことを思うほど、イラついていた。

「………何?」

 そう一言佐伯は言うと、俺に殺気を感じさせるほど睨んだ後、胸倉を掴んだ手を…はたかれた。


(そんなこと…。するのかよ…。)

 俺の表情はきっと凍っている。視界が少しぼやける。

―涙が溢れかけた。

 本当に、殺したい。そんなことすら考えかけた。


「ふざけるな…!」

 俺は、ここまで起こったのは初めてだった。それほど俺は、温厚だと思うしあまり嫌な事も言われなかったが。

 佐伯のお陰で、何かが切れた。

「ふざけて、無い。」


―馬鹿だな。俺。こんな奴の相手してたのかよ。

 俺は佐伯の胸倉を放す。

「佐伯…、お前見損なった!」

 殴ろうと思っていた自分に、少し笑ってしまった。

(こんな奴の相手、する価値なんてチリ一つねえよ。)

 俺は、佐伯を全く見ず、教室へ走った。



 家に帰った後も、佐伯に言われた事が全て胸に刺さって、


 ナミダガ、     カレタ。

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