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cherry blossoms  作者: 無月藍
1/6

綾―桜の下で―




この作品は、「小説&まんが投稿屋」の、作家、菫が書いた小説、「cherry blossoms」と多少の修正等以外は同じ作品です。

―さあっ


 少し強い風が吹く。

 私の隣にある桜の木は、風で枝を揺らし、桜吹雪を創る。

 私は、風で少し乱れた背中まである髪を手櫛で直す。

―さあっ


 また風が吹いて、桜の花びらが舞う。

 その花びらは、とても綺麗で切なくなる。

(いつかは全部散ってしまうんだよね…。どんなに綺麗でも、どんなに丈夫でも。)

 私はふとそう思った。

「恋なんて、脆いんだからすぐ消えてしまうよ。」

 小さな声で呟いた。

 

 私は1ヶ月に、失恋した。理由なんて簡単。

「好きな子が出来たから、別れてくれないか…。」

 仁が私に向けて言い放った、最後の言葉。

 私は何も言わずに肯いた。

「あ!佐伯さん。手紙を出した…町野です!よかったら付き合って下さい!!」

 それを言ったのは仁だった。

 私はその時もコクリと肯いた。別に好きじゃなかったけれど、断わらなくても別に何も支障は無いから、私は肯いた。

 結局、1ヶ月で散った…私と仁の恋。

「何か暖かいものを『私は』1ヶ月間感じていたのに」

 私たちは別れた。


 その別れを切り出されたのが、この桜の木の下だった。その時はまだ桜の花は咲いていなくて、小さな小さなつぼみだったけれど、ほのかにピンク色づいていてとても綺麗だった。


ジャリ…

 足音がした…。私じゃない人間の。

 私はそれに驚いた。ここに通うようになってから、まだ一度も人がここに来たことが無いからだった。

(誰か来たの?)

さああっ

 風が吹いて、また桜吹雪になる。


 次の瞬間、桜吹雪が治まるとそこには一人の男子生徒が立っていた。

 私はとっさに、疑問を言う。

「あなた…誰?」

「君こそ…誰?」


 私たちは顔を見合わせる。

(まあ、此処は私だけの場所じゃないしね…人が来て当たり前だよね。)

「俺は、2年3組の春巳 朔良…だけど。………あれ、君どこかで…?」

「……思い出した。私と同じクラスじゃない?」

「あ!そうだ!確か君は佐伯 綾ちゃん…だったよな?」

「うん。よく覚えてたね。クラスに30人も居るのに。」

「俺、名前覚えるのは早いから。」

 私たちは3秒ほど沈黙する。


「どうして…ここに?」

 春巳君は言った。

「なんとなく。じゃ駄目?」

「いや…。」

 私は、いつもこんな口調だ。皆からはクールと思われているようで「氷河佐伯」とか裏で呼ばれている。実際そうなのだろうけれど、私は全く気に入らない。

「じゃあ、あなたは?どうして此処に?」

「俺は…彼女に振られたから…。」




さあっ

 ピンク色の桜の花びらが舞う。

 

 春巳君は、悲しいような…苦しいような…そんな表情をした。

 私は聞かないほうがよかったと、

 

―後悔した。

さて、第一部分が終わりました。

綾の辛い気持ちがうまく伝わっていればいいですが…。


感想の方、ぜひよろしくお願いいたします。

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