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【第三章、開始】私、曇りの聖女と呼ばれたけれど! ~転生悪女が授かったトンデモギフトの正体は何?~  作者: 川崎悠
第2章 乙女ゲームは八十一難

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67 夏季休暇の計画

 私は自室でノートにこれまで起きたことをまとめる。

 この国の裏側で起きている問題と、その裏側にいそうな奴らをピックアップ。


・公爵令嬢を襲撃したグループとその黒幕。

・聖女を誘拐させ、ギフトの複製技術を有する黒幕。

・魔獣災害発生の原因を作った黒幕。

・ヴォルテール領や王都で女性を誘拐し、集めていた黒幕。


 ……この四種類の黒幕さんがいるわけだけど。

 たぶん、これら全部、同じ黒幕よねぇ?

 証拠は当然ない。なので私以外にこの推理を肯定できる人はいない。

 でもまぁ一緒でしょう。うん。決め打ち。

 この線で調べたら現実の捜査を混乱させるかなぁ……。


「女性たちの誘拐は、謎の水晶作成に必要だからそうしている?」


 キメラの体内にあった黒水晶とギフト複製をする水晶。

 二つは〝同じ物〟かしら? 同じ組織が生み出した物よね、たぶん。

 なんらかの用途のために開発中、副次的に完成した技術とか?


「私を襲ったのは殿下の婚約者候補となる公爵令嬢が邪魔だからとして」


 他にもハズレギフトを狙った可能性も少し?

 教会にもこれまでのハズレギフト、いえ『名無しのギフト』について聞いておかなくちゃ。


「とりあえずヴィルヘルムに連絡しておこうかしら。調査能力が高い可能性、あるものね」


 ジークヴァルトルートで魔獣災害の原因発覚! って可能性よ。

 私は王都とヴォルテール領で起きた誘拐事件について書き、ヴィルヘルムに手紙を送る。

 無関係かもしれないけど私の勘です、と。

 勘を根拠に人は動かないが、ヴィルヘルムだけは別だ。

 流石に『予言』とは言わないが、勘で彼を助けてみせたことは大きいだろう。

 それから辺境伯令息のラグナ卿とも連携できるかも、と。


「ふふ、完成形お兄ちゃんと、お助けキャラのラグナ卿とのタッグ。最強の布陣なのでは?」


 ヴィルヘルムも実は名無しのギフト持ちとかないだろうか。

 いや、ないかなぁ。あの感じだと。


「それにしても紅孩児が出てくるとはねぇ」


 孫悟空だけなら何かの間違いで済む……済まないけど……だけど。

 紅孩児もセットで出てくるとなると、いったいどういうわけなのよ。

 どこかにいるかもしれないお師匠様、ギフト『玄奘三蔵法師』持ち。

 そのギフト持ちを捜しだして助けることこそ、本当に私に与えられた役割なのでは?


「でも手掛かりがなさすぎる……」


 教会には登録されていないらしい。

 また洗礼名は読めないため、本人に聞いてもわからないだろう。捜しようがない。


「ヒロインちゃんを助けつつ、三蔵法師っぽい人を捜す。これからの方針はこうね」


 でも三蔵法師っぽい人って誰だろう? いえ、本人の性格は関係ないわよね。

 私だって別に孫悟空と性格が似ているわけでもあるまい。


「この世界観的に考えるなら……」


 ドアマットヒロインっぽい子を見つけ出して救出するとか?

 『ドアマットヒロイン』とは、ドアマットのように他人に踏みつけられ続けるヒロインだ。

 不幸な令嬢が長年の苦労の末に報われるタイプ。

 キラキラした性格のヒロインはすでにフィナさんがやっている。

 でも、いざ外部からそういう子を見つけ出そうとすると難しいわよね。


 あと普通に三蔵法師は男性だ。

 聖女や乙女ゲームに引っ張られるけど、三蔵法師のギフト持ちが男性である可能性も高い。

 マッチョな人が武力の救済なんて要らないだろうし。

 線の細いタイプの子とか? ショタ枠だったりして。

 十二歳以下くらいの年齢で見るだけで可愛い美少年がギフト『玄奘三蔵法師』持ち。

 ありそう~……。

 とりあえず、今後のラグナ卿との情報交換と教会への問い合わせが必要ね。



 学園に登校すると、ひそひそと囁かれているのを聞く。

 概ね昨日のダンスパーティーで殿下に選ばれなかったことだ。

 耳聡い人は、なぜか私がパーティーを抜け出して辺境伯令息と駆け落ちしていたと掴んでいる。

 どんな情報網を持っているのかしら。衛兵に知り合いでもいるの?

 昨夜は、かなり目立っていたから、そのくらい知れ渡るか。


「カーマイン様、昨日はそのぉ」

「ええ」

「途中からパーティーを抜けられましたよね?」

「ええ」

「そこで、その。別の男性と出会われていたとか?」

「ええ」

「まぁ! まぁ、まぁ!」

「きゃあ!」


 大半が貴族令嬢でありつつ、同時に年頃の女子なのだ。

 嫌味とかではなく純粋に興味を抱かれているみたい。

 すごくキャッキャされる。好きよねぇ、こういう話。


 ラグナ卿は悪役令嬢目線でいうと完全にG4全員の上位互換みたいなものだし。

 そりゃあ身分的な、現実の目線では、絶対にそうとは言えないかもだけど。

 この年頃女子にとって六歳差の年上男性なんて、むしろボーナスみたいなものよね。

 それはそれとしてラグナ卿って婚約者がいたり、結婚していたりしないの?

 そこまで聞いていないし、調べてもいなかったわ。


「そういえばね。私、知らないのだけれど」

「ええ、なんでしょう?」

「ダンスパーティーで例のG4さんたち、殿下はともかくとして、ジュリアンさんやアイゼンハルト卿が一緒に踊っていらした方たちのこと、知っている?」

「ああ、それでしたら……」


 一般女子生徒からなのに、あっさりと情報が手に入る。

 やだ、私、学園社会に疎すぎ?

 切実に欲しい情報通キャラクター! いないかしら?

 ヒロインの友人キャラとか。攻略対象の情報をいろいろと教えてくれる系の。

 いたら私にも情報を分けてほしいわぁ。


「まず、ジークヴァルトさんの相手の人は……」


 メリッサ・コーデル伯爵令嬢。

 ピンク髪の長髪をツインテールにしていた女子生徒。

 学年は私たちと同じ一年生で十六歳。

 昔からアイゼンハルト侯爵家とは縁が深くて、ヴィルヘルムの婚約者候補だった女性らしい。

 ビンゴ。彼女がやはりそうなのだ。


「今は、婚約関係は保留なのですって。でも彼女、ジークヴァルトさんが好きみたいですから……」

「アイゼンハルト家はお兄さんが家を継ぐ予定なのよね? それなのに?」

「昨日のパーティーを見る限り、噂通りにジークヴァルトさんの方がいいんだと思います」

「へぇ……」


 メリッサ嬢って趣味が……ゲフンゲフン。


 いや、待った。そうか、年齢だ。

 この年頃の女子にとって数歳の年上なんてボーナスタイムと私は思うけど。

 それは当然、個人的感想である。

 人によっては同年代より年上なんておっさん! なタイプもいるかもしれない。

 そうするとメリッサ嬢の目からはヴィルヘルムが恋愛対象に見えないのかも?

 いやぁ、前世持ちな私がお姉さん(づら)するけど。

 絶対にヴィルヘルムの方がお買い得だと思うわよ、メリッサ嬢。

 でも、もしメリッサ嬢がジークヴァルト狙いならヴィルヘルムはお相手なし?


 それは……ねぇ?

 いけない。どうしても純粋な気持ちじゃなくなる。

 こう、打算が働いてしまうわ。そういうのどうなのかしら。

 というか、メリッサ嬢がそのスタンスなら普通にヴィルヘルム狙いの女性も出てくるのでは?


「ジュリアンさんと踊られていたのは……」


 レティシア・ボルネ伯爵令嬢。

 やはりジュリアンさんの兄、ヴァレンシュタイン侯爵家次男ウィリアム氏の婚約者らしい。

 彼女は三年生で、今年度で卒業する。

 卒業後は予想通りウィリアム氏と結婚するそうだ。

 あの日はお互いの事情があってダンスパートナーとして来ていたらしい。


 脱線するけど、やっぱり伯爵家も多いわよねぇ。

 子爵家・男爵家にいたっては、さらに数が多いのだ。

 前世の令嬢もの主人公たちは国内貴族の名前を全部把握しているタイプとかいたけど。

 私には、どうもそれは無理っぽい。


「いろいろと教えてくれてありがとう。参考にさせてもらうわ」


 そんなふうに教室で集まってきた生徒たちにいろいろと聞いて過ごした。

 いろいろと評価はされているんだけど。

 今のところ悪役令嬢だからと壊滅的な評判じゃあないわね。

 もちろん、悪評を立ててくる人たちがいないわけじゃない。

 でも、それは……ただの公爵令嬢として普通のことでしょうね、きっと。



「マイン様、こちらにいらしたのですか」

「あら、フィナさん、ごきげんよう」


 放課後。王立学園の図書館で作業中、フィナさんがやって来た。

 学園での情報収集として基本情報から当たっていたところだ。

 いくつかの貴族家門が保有する領地について調べている。

 ヴォルテール辺境伯領、コーデル伯爵領、ボルネ伯爵領。

 それから念のため、ラウゼン男爵家についても。

 昨夜、隠し部屋から助けたエミリア・ラウゼン男爵令嬢の家ね。


「地図を見ていらっしゃるのですか?」

「ええ、いろいろと気になることがあって。フィナさんはどうしたの? 図書館に用事?」

「あ、その……。そろそろ夏季休暇の予定を一緒に立てたい、と。マイン様がアスティエール子爵領に来てくださるつもりが、まだおありなら、ですけど!」

「ああ、そうね。じゃあ、そのことについて一緒に話しましょうか」

「はい!」


 アスティエール子爵領。ヒロインちゃんが暮らしていた田舎の領地。

 その場所は……王都の〝西〟にあるようだ。


17時の更新で、第二章完結です。

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― 新着の感想 ―
なんだか読者の皆さんの理解力がずば抜けているような……。こわ……。
金蟬童子も出てくるかな?
某白心文庫には、普段はやんちゃと言うか寧ろ俺様系武闘派少年で、悟空をちょくちょくどつくし妖怪も普通にしばき倒す上にTSしてる三蔵なんてのもいましてな…… (なお、望月の夜だけ本来の可憐なお姫様にして悟…
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