21 幕間
ちょっと箸休め(短め)
私は日本人の転生者だ。
それ以上の情報はあんまりない。オタク寄り、いや、オタクの女性だった。
あまり認めたくはないが、そこまで若くはなかったはずである。
といっても、その年代の意識が今世では薄れているんだけど。
西遊記に詳しい理由? それはほら、アレ。
世の中には〝最〟の方もあったわけで、そこにはほら、四人の美形の男子がワチャワチャだったわけで。
世代としては『原典も知っておこう』という、きっかけになった人も、ねぇ?
いえ、それなりに詳しいだけで、それオンリーオタクではなかったはずだ。
ましてや、その世界にどっぷり浸かって転生するほどでは決してなかった。
さておき。
このギフトを授かった私が、元は日本人であった以上、試さなければならないことがある。
明日に休日を控えた日、私の部屋。バルコニーに出て、夜空を見上げる。
部屋に侍女などの使用人はいない。目撃者はゼロだ。
私はそこで〝構え〟を取り、意識を集中する。
「……〇、〇、〇、〇、波ーッ!」
都合により伏せ字よ!
私は構えた両手を、念のために空に向かって突き出した。
「…………」
沈黙。否、木々の擦れる音や小動物や虫が奏でる音が空しく響く。
「はい、検証終了」
流石に〝波〟は出ないらしい。やはり原典準拠か。
日本人で孫悟空は正直、どちらが有名かといわれると、こっちだもの。
この検証は必須だったわ。
「……誰も見ていないわよね?」
こんなことをしている公爵令嬢、見られるわけにはいかないだろう。
ああ、恥ずかしかった。
明日の休日はまた教会にでも行こう。




