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北の離宮

宿を出て歩き始めると、遠くだが北の離宮が見え始めた。もうちょっとだ。


最後の数時間は森の中を歩くそうだ。


森林浴で気持ちいいが、殿下が鳥とかに狙われないように気をつけないと。


お昼をちょっと過ぎてしまったが、あともうちょっとなので先を急ぐ。


「リン、あんまり急がなくても大丈夫だ。無理しないでくれ」


「大丈夫ですよ、離宮に着いてからゆっくりお昼にしましょう」


「リン!!!」殿下の焦った声が聞こえる。


すると急に知らない声がした。


「おい、嬢ちゃん。何で1人でぶつぶつ言って歩いているんだ?」


顔を上げると。木の影から数人の男が出てきた。


「偉く羽振りのいい部屋に泊まりながら、一人旅している女がいるっていうから、先回りしてみたんだ。離宮に用事って事は侍女かなんかか?金持ってるなら出せ」


ご、、強盗?


私はすぐにマリウスさんがくれたお金を出す。お金より何より殿下を守らないと。


「すぐに金を出すって事は、他になんか隠してるのか?」


私は怖くて声も出せないが、首をブンブン振る。


「そのストラップについているパウチをさっきから手で隠してるが、その中になんかあるのか?」


「何もないです。人形が入っているだけです」


「嘘だな、もっと重要なものが入っているだろう」


こんな所で殿下が落ちてしまったら、怪我どころじゃ済まない。


逃げようにも逃げられない。


「リン、大丈夫だ。すぐに助けがくるから落ち着け」と殿下が言ってくれる。離宮から助けが来るのかもしれないが、私たちがここにいる事なんか知らないだろう。


私はパウチをゆっくり開ける、そして殿下を摘んで男達に見せる。


「ほら、人形しか入ってないでしょ」そう言って私は殿下を胸元に詰め込み、パウチを外す。


「リン、何すんだ!どこに入れているんだ」とアンドリュー殿下が暴れているが、それどころじゃない。


そしてパウチを男達に投げつける。

「信用しないなら、中を見てみなさいよ」


中を確かめて何も入っていないとわかるとがっかりしているが、リーダーぽい男はニヤニヤしてる。


「女は服の中に宝石とかを隠すかもしれないから、俺が調べてやろう」


それを聞いた瞬間、背筋がゾッとした。


「え、嫌」


しかし男は私の腕を掴む。


そして胸元に手を入れようとする、するとアンドリュー殿下が噛み付いたのか、


「痛え!!なんかネズミでも入ってるのか??」と私を振り払った。私は木に叩きつけられて、息ができない。


アンドリュー殿下をお守りしないと。

「俺のリンに何するんだよ!!!!」


その瞬間、胸元からアンドリュー殿下が飛び出した?そして。。。大きくなった。


あ、とうとうポーションの効力が切れたのか。


しかし前に見えるのは。。


そうか。。体は元に戻ったけど、服は当然ならないわね。


私はこれ以上見たら、お嫁にいけなくなると思って目を閉じた。


男達の叫び声が聞こえるが、目は開けれない。


「リン!大丈夫か?何故目を閉じている?怪我をしたのか?しっかりしろ」


「だ、。大丈夫です」


「目を開けて顔を見せてくれ」


「開けたら、お嫁に行けなくなりそうなので嫌です」


「アンドリュー殿下、自重してくださいって言いましたよね」突然マリウスさんの声がして、びっくりしてつい目を開けてしまった。


目の前には銀の髪に深い青の目をしたまさに眉目秀麗の。。。全裸の王子様がいた。


「ぎゃーー〜なんか着てください」


マリウスさんがサッと彼のマントを殿下に被せてくれたが、丈が短いのでもっと卑猥な感じになった。


「殿下、洋服は馬車に用意してあるので、早く着替えてください」


「それよりリンに怪我がないかチェックしないと」


「殿下、リンさんはそろそろ限界だと思います。早く服を」


ありがとうマリウスさん、もう少しで卒倒するところだった。


………………………………………………………

「わっはっは、それでリンちゃんはそんなげっそりした顔をしているのか?アンドリューの裸はそんなに気に入らなかった?」


「そういう訳じゃなくて、びっくりしただけです」


私達は離宮の応接室で王弟殿下とお茶をしている。


あの後、私が怪我をしたかもしれないと心配したアンドリュー殿下に抱えられて、馬車でここまでやってきた。

マリウスさんは旅の道中ずっと護衛として後ろからついて来てくれてがそうだ。


そうよね、王太子と侍女だけで旅なんて危ない事させる訳ないものね。


「で、アンドリューは色々吹っ切れたみたいだね」と王弟殿下が私達を見て笑っている。


「アンドリュー殿下、何を吹っ切れたのかは知りませんが、そろそろおろして頂けませんか?」


私は離宮に入ってからも、いまだにアンドリュー殿下に抱えられたままだ。


王弟殿下の向かいに膝に乗せられてアンドリュー殿下と座る私達、後ろに控えるマリウスさん。


マリウスさんに助けてという視線を送ったが、静かに首を振られた。


「諦めなよ、リンちゃん。この男は結婚したい男No.1とか言われながら、本当は好きな子に告白もできないヘタレなんだから。6ヶ月で元に戻るって言ったのに、リンちゃんの誕生日までに戻らないと困るってここまできちゃうんだから」


「え?」


「叔父上!!俺はリンにまだ!」


「お前はこの3日間何をしていたんだ?」と呆れたように王弟殿下が言う。


「わーーーやり直し、リンちょっとこっちに来い」と私を抱えたままアンドリュー殿下は離宮の庭に出る。


アンドリュー殿下は庭にある四阿に私を連れて、ベンチに私をおろしてくれる。


アンドリュー殿下は私の手を握って、隣に座った。


「叔父上に色々言われてしまったが、リン。俺はお前に未来の王妃になってもらいたいんだ」


「。。。。は?」


「お前、俺のプロポーズにその返事はないだろう」


「だって、アンドリュー殿下は私の事嫌いじゃないですか、小さい時から意地悪ばかりされてたし、髪の毛引っ張られたり、カエルを投げつけられたり」


「悪かったよ、俺はお前の赤い髪が綺麗だと思ってよく見たかったんだ。カエルは。。俺はお前の緑の目みたいで好きだったから、お前にもあげようと思ってたんだよ」


うわーー不器用すぎる。


「アンの侍女になってから、会う機会がどんどん減るし。わざと手紙とか書類とかそっちに回して、俺の執務室に来てもらってもすぐ帰っちゃうし、俺は父上に20歳になったら結婚すると約束してたし、焦ってたんだ」


「何を焦ってたんですか?この国で結婚したい男No.1でしょ」


「俺はリンに優しく出来なかったから、練習のためにしていただけで、他の令嬢には興味ない。リン以外とは結婚したくなかったんだ。だから、時間稼ぎの為に20歳までといったが、その時間はどんどん迫ってきた。俺はお前と仲良くもなれてない。そしてお前に王妃に相応し地位を用意して父上を納得させないといけない」


一応子爵家出身だけど、しがない侍女だからね。


「だから、叔父上に相談して、ポーションを飲んで小さくなる事にしたんだ」




好きな子にかまって欲しくて色々するけど、それが嫌われる原因になると言うありがちパターンです。

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