殿下が小さくなった原因
誰かが頬を叩いている。
いや。。踏まれてる気がする。
「リン、起きろ大丈夫か!」
やっぱりアンドリュー殿下よね。人形じゃないよね、思いっきり私の頬を踏んでるし。
私が体を起こしたら、殿下が落ちてしまうと、顔を動かさずにそっと殿下を手で包んだ。
「おい、もっと丁寧にしろ!」
虫とかじゃないわよね、喋ってるし。アンドリュー殿下よね。
「夢なのかな?でも踏まれた所痛いし」
包んだ手をそっと開けると、アンドリュー殿下がすくっと立って、私に向かって怒り出す。
「夢じゃない。早く俺を机に戻せ!」
私が殿下を机に戻すと、執務室の扉が開いた。
「何で扉が。。?あ、リンさん。また手紙がそちらに行ってました?あーーー殿下、とうとうバレました?」
殿下の従者のマリウスさんだ。なんか、やつれてる。
「マリウスさん、私は幻覚剤でも盛られたのでしょうか?殿下が芋虫サイズになってます」
「何だその例えは、芋虫はないだろう」
「じゃあゴキ。。。」
「害虫にするな!!」
キーキー怒る殿下は間違いなくアンドリュー殿下だ。
マリウスさんは疲れ切った顔で、
「もうぶっちゃけ、リンさんが見つけてくれてよかった。半年間私1人でお世話をしていたんですが、休みもなく、夜もよく寝れなくて。リンさん、国王陛下とアン王女には私が許可を取りますので、本日は殿下のお世話のお願いをしてもいいでしょうか?」
あまりの必死な様子に思わず頷いてしまった。
すると、マリウスさんは、素晴らしい笑顔になって部屋を出ていった。
「殿下、マリウスさんに何をさせたんですか?」
「この体だとできない事が多くてな、まあ色々と」
アンドリュー殿下は仕事中毒気味な所があるから、マリウスさんもそれに付き合わされたのかな?
マリウスさんが何を持ってきたのかと思ったら、新しい洋服と紅茶とクッキーだった。ご丁寧に小さなティーカップまである。
可愛い。服もよくできてるなーと嬉々としてミニチュアを見ていると。
「おい、これはおもちゃじゃないんだ。さっさと服をよこせ、あと紅茶を入れろ」
服はすぐに渡したけど、紅茶って。。
このカップに入れるの?
ティーポットから直接は無理よね。脇添えてあった小さなスプーンで数滴ティーカップに入れるがこぼれた。
クッキーは割ってみるが、粉々になるだけ。ちょうどいい大きさにできない。
砂糖とミルクに至ってはどうしたらいいのかわからないので放置。
そっとアンドリュー殿下の机にあるテーブルに置いてみた。何か言いたそうだが、渋々飲んでる。
マリウスさん、これ半年間やってたんだ。大変だったな。。
「アンドリュー殿下。何でこんな事になったのですか?」
「リン、お前は私の叔父を覚えているか?北の離宮に住んでいる」
「あーーあの変人。。。極端な天才肌のポーション研究者の王弟殿下ですか?」
「あいつは変人だ気にするな、その叔父が俺の誕生日パーティーに来てたいたんだ」
「いましたね、アン王女殿下は会いたくないって逃げ回ってましたから、ちゃんとご挨拶はできませんでしたが。途中で殿下は王弟殿下と離席されましたよね」
そしてその後。殿下を見ることはなく、外交のために旅に出られたと聞いた。
「ああ、なんか特別なプレゼントがあると、裏の控え室に連れて行かれたんだ。叔父にはこれからの事を相談していてな。まあ叔父に相談した俺が馬鹿だったとはわかっているんだが」
相談事が何かは。。なんか聞いてはいけない雰囲気ね。
「叔父上はかなり酔っ払っていたぽい。相談事の答えより、自分の実験をしたかったんだろうな。いきなりポーションを取り出して、これでお前の悩みは解消だといきなりポーションを口に入れられた。そうしたらこの様だ」
殿下は立って、くるっとその場で回ってみる。
「一部始終を見ていたマリウスは俺が潰されないように、テーブルの上に乗せて、父上と母上を呼びにいった。アンはお前が部屋に連れていった後だと聞いた。母上は倒れるし、父上は叔父上に掴みかかるし、俺はテーブルから吹き飛ばされそうになるし、大騒ぎだったよ」
「叔父上曰く、元に戻すポーションはまでできていないが、3ヶ月もすれば勝手に元に戻ると言われて待っていたんだが、半年経っても、元通りになる気配はない」
まあテーブルに戻って、頭を抱えている。
「なので叔父上の所に行こうと思うんだが、父上は叔父上の事を北の離宮に幽閉している。父上はまた違うポーションを飲んで変になったら困るからと、俺が会いに行く事も許さない。だが俺は。。。元の姿にどうしても戻らなくてはいけない。その期限まで後1ヶ月しかない」
アンドリュー殿下は私の方に近づいてきた
「だから、リン、俺の侍女になって叔父上のいる北の離宮に俺を連れていってくれ」
「え?私ですか?マリウスさんの方が最適なのでは?私はアン王女殿下の侍女ですし」
「お前はマリウスの様子を見たろ、もうあいつは精神的に一杯一杯だ。俺の状態は誰にも言えないのに、俺のお付きで視察に一緒にいかないのに、人形遊びでをしていると噂されている」
1番お世話をしているのに、可哀想すぎる。
「もうお前に秘密は知られた事だし、叔父上もお気に入りお前なら俺に協力してくれるはずだ」
「私は確かに王弟殿下には可愛がって貰いましたけど。。。。」
アンドリュー殿下の意地悪から逃げるために、王弟殿下に匿って貰っていたとは言いにくい。
王弟殿下は基本的におっとりしたタイプなんだけど、お酒を飲むと変わるのかな?
私が赤い髪をアンドリュー殿下に引っ張られて泣いた時も、カエルを投げつけられて失神しかけた時も
「アンドリュー、お前はもう少し女の子には優しくしないといけないよ。ちゃんと言葉で言わないと伝わる物も伝わらないよ」といつも諭してくれていた。
アンドリュー殿下は王弟殿下の後ろに隠れる私に凄く怒っていたけど。
その後アン王女の侍女見習いになったから、アンドリュー殿下とは殆ど遊ばなくなくなったわね。
アンドリュー殿下は王弟殿下のアドバイスに従って、凄く他の令嬢には優しく対応するから、結婚したい男性No.1にまでなっているし。
「おい、お前は俺の話を聞いているのか?」
「え?聞いてませんでした」
「。。。。少しは取り繕えよ」
「嘘をつくのも何ですし、でどうやって離宮まで行くのでしょうか?殿下は馬に一緒に乗れませんよね、やっぱり馬車でしょうか?」
「問題はそこだろうな。手に乗せて歩かれるだけでも振動がすごいのに、馬車や馬はな」
「北の離宮は行った事がないのですが、遠いんですよね」
「いや、馬なら1日だ、馬車なら一日半かな」
「馬車ですかね。私の乗馬は。。殿下も知ってますよね」
「そうだな。何で真っ直ぐに進めないのか」
「馬が私の髪を齧ろうとするからですよ。美味しそうに見えるみたいです」
アンドリュー殿下は真顔をしているが、肩が揺れてる。どうせ私の髪は真っ赤で、りんごと間違えてるんでしょ!
「リンと馬のの相性は悪そうだな。行きは。。歩いて行くか。3日ぐらいでつくと思うぞ」
「はい???」
出発は3日後になった。
私がアンドリュー殿下を連れて歩くらしい。




