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第4話『修行』

「オギャー、オギャー!」


「アレス様、大丈夫ですか? 怖い夢でも見たんですか?」


「うー……」「うー……」

(……はぁ、はぁ……フィオナ……?)


目の前に広がるのは、安心感の塊である巨乳メイド(フィオナ)の優しい顔。どうやら抱っこされているらしい。


──ってことは、さっきのは夢か。

それにしてもリアルすぎた。自分がカサカサと床を這いずり回る感覚。見上げれば巨人のような人間の足。

なんでよりによって“G”なんだよ!? ロッキーって誰だよ!?


……まさか、これが“神の呪い”の警告か?

『修行しないと虫にするぞ』ってこと? あの創造神(かみさま)、容赦なさすぎるだろ……。


まだ「うー」しか言えない赤ん坊に何を求めているんだ。児童相談所案件だぞ。まあ、文句を言っても相手は神だ。虫化ENDだけは絶対に回避しなければならない。


「私が来たからには、もう大丈夫ですからね〜」


フィオナが優しく抱きしめてくれる。ああ、癒やしの化身。

そこへガチャリと扉が開き、母親も入ってきた。


「あら? アレス、泣いていたの?」

「はい。どうやら怖い夢を見たようで」

「よしよし、おいでアレス」


巨乳メイド(フィオナ)から母親の腕へ。

柔らかくて、温かくて、いい匂い。癒やし属性SSランクの二人に囲まれて、悪夢の恐怖が溶けていく。


──こんなに大切にしてくれる人たちがいる。

せっかく貰った第二の人生だ。虫になってたまるか。

オレはやるぞ。この癒やしパワーを糧に、今から最強への道を歩み始めてやる……!



朝のバブバブタイム(ミルク)を終え、オレは小さく伸びをした。


ふぅ……。早速修行と行きたいところだけど、まずはあのヤバイ【神の呪い(スキル)】をステータスから隠蔽しないとだな。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【名前】:アレス・フォン・ヴァレンタイン

【レベル】:1

【種族】:人間(0歳)

【職業】:赤ん坊 / 辺境伯嫡男

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ひとまずこれでよしと。

あんなバッドスキルを誰かに見られたら、即教会に連行されて公開処刑待った無しだったわ。


それでは気を取り直してやりますか。

この世界には『天賦顕現の義(てんぶけんげんのぎ)』という、5歳で才能や適性を知る儀式がある。普通はそこから修行を始めるのが常識だ。

だが、オレには前世の記憶と、チートスキルがある。


(スキル《インターネット》──発動)


脳内にウィンドウが展開される。検索ワードは『異世界の魔法理論』。画面に表示された【インストールしますか?】の問いに、迷わず【はい】を選択。


――ピピピ……インストール開始。


あびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!!!!


頭が割れる! 熱い、重い、痛い!

数秒の激痛の後、冷たい水が染み渡るように“魔法の仕組み”が脳に定着した。


《スキル・インターネット:インストール完了》


……相変わらず副作用がキツイなこのスキル。

だが、結論は出た。

「今から修行しても問題ない」。むしろ、オレのような“意識のある赤ん坊”こそ、魔力回路を形成する黄金期らしい。


整理しよう。魔法の公式はこうだ。

『魔力』×(『イメージ』+『言葉』)=『魔法現象』


理屈はわかった。あとは実践あるのみ。


まずは基礎中の基礎、①【魔力感知】からだ。

オレは目を閉じ、呼吸を整える。

外界の音を遮断し、意識を己の内側──へその下あたり、丹田へ沈めていく。


(集中しろ……そこにある“何か”を感じるんだ……)


雑念を捨て、ただ呼吸のみを感じる。

すると、胸の奥にポウッと小さな“灯り”のような感覚が生まれた。熱くもなく、冷たくもない。けれど確かにそこにある、命の奔流。


──これか。


目を開けると、空気中に漂う青白い粒子が見えた。

窓は閉まっているのに、部屋の空気が微かに揺らいでいる。


「......あー.....」

(……マナ……)


『スキル【魔力感知】を取得しました』


おお、一発クリア! ワシ、天才か?

気を良くしたオレは、次のステップ、②【魔力操作】へ移行する。感じ取ったこの温かいナニカを、意図的に動かす訓練だ。


(まずは腹の下に力を入れて、内側の……こう、グッと……)


んぐぐぐ……出ろ、オレの力……ッ!

と、その時。下腹部に熱い塊が降臨した。


「………………」

「………………」

「………………ぶりゅ」


……ワシ、うんこ漏らしとる。


現実は非情である。

オムツ交換(屈辱)を経て、気を取り直して再チャレンジ。


今度は慎重に。

心臓から肩、腕、そして指先へ。

血管とは違うルートをイメージし、光の水を流すように魔力を巡らせる。


(通れ……通れ……!)


最初は詰まるような感覚があったが、何度か繰り返すうちに“栓”が抜けたようにスッと流れ出した。そのまま手のひらへ集め、皮膚の外へ押し出すイメージ。


……ふわっ。


手のひらの上で、淡い青銀の光が舞った。

さらにイメージを固める。霧散しようとする魔力を、見えない“殻”に閉じ込めるように──。


カッ。

直径10センチほどの光の球体が、オレの手のひらに安定して浮かび上がった。


「あーー!!!」

(っしゃあ!!!)


『スキル【魔力操作】を取得しました』


できた。できてしまった。

やはりこのボディ、魔法の才能に関してはSSR級だ。


さらに脳内にアナウンスが響く。


『スキル【詠唱術】を取得しました』


ん? 詠唱術?

まだ呪文なんて唱えてないぞ。

……そうか、前世の知識か。アニメやゲームで刷り込まれた「魔法とはこういうもの」という概念が、そのままスキルとして昇華されたのか。


だったら──あれもいけるはずだ。

一般には存在しないとされる幻のスキル、【イマジネーションロック】。

魔法の現象を、数値や物理法則レベルで鮮明にイメージする技術。


オレは天井へ手のひらを向けた。


(対象:天井。術式:ファイアボール。

 直径10cm。赤色。初速10m/s。着弾温度300度──)


詠唱はしない。ただ、強烈なイメージだけで事象を固定する。名付けて【無詠唱】×【イマジネーションロック】のハイブリッド起動。


(──撃て!)


ドォン!!


手のひらから赤い閃光が走り、天井で小さな爆発が起きた。

焦げ臭い匂いと共に、天井に黒いすすがこびりつく。


「…………」


『スキル【イマジネーションロック】を取得しました』

『スキル【無詠唱】を取得しました』


……威力、ありすぎだろ。

たぶん一般の魔導士が詠唱して撃つより速くて強い。

0歳児が持ってていい火力じゃないぞ、これ。


ガチャ。


「あら? 何か音が……」


ヤバい、母親だ!

オレは瞬時に証拠隠滅(手足をバタつかせる)を図る。


「あー……うー」

(天井……バレてないよな?)


母親はキョロキョロしたが、幸い天井の焦げ跡には気づかず、オレを抱き上げた。


「あらあら、元気な声。お歌の練習かしら? 偉いわねぇ」


「あー」「あー」

(セーーーフッ!!)



夕暮れ時。

母親の腕の中で揺られながら、オレはまどろみの中にいた。


窓の外には魔の森の影。

この世界は危険がいっぱいだ。神の呪いもある。

だけど、スタートダッシュは完璧に決まった。


見てろよ……絶対に生き残ってやる……


小さな決意を胸に、オレは深い眠りへと落ちていった。


***


【ステータス】(隠蔽なし)

--------------------------------------------------

名前 :アレス・フォン・ヴァレンタイン

年齢 :0歳(3ヶ月)

種族 :半神

職業 :辺境伯嫡男

レベル:1

--------------------------------------------------

【称号・加護】

 [転生者] [神の使徒]

 [創造神の加護] [地母神の加護]


【保有スキル】

 ・鑑定

 ・アイテムボックス

 ・魔力感知  (NEW!)

 ・魔力操作  (NEW!)

 ・詠唱術   (NEW!)

 ・無詠唱   (NEW!)


【ユニーク / EXスキル】

 ・インターネット

 ・言語理解

 ・神威降臨  (※未解放)

 ・神の呪い

 ・イマジネーションロック(NEW!)

--------------------------------------------------


ここまでお読みいただきありがとうございます。

第4話、いかがでしたでしょうか?

「面白そう!」「また読んでやるよ」と思っていただけたら、ページ下の【☆☆☆☆☆】から評価ポイントを入れていただけると、執筆のモチベーションになります!


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