B神社ー1
午前11時。予定通り、B神社に到着することができた。
小ぢんまりとした、無人の神社だ。地域の人に愛されているらしく、ゴミが落ちていたり雑草が生えまくっていたりということはない。
「綺麗な神社ですね」
私が言うと、レインさんが「はい」といって笑う。
「なんか、ご利益がありそうですよね」
「あ、そうそう。ご利益ならあったんですよ!」
レインさんの言葉に、ノコノコさんが軽く興奮しながら話し出す。
「前の時も時間があったから、ちょっとお参りしておこうかなって思って。折角なので、失くしたキーホルダーが見つかりますようにってお願いしたんですよ」
「もしかして、見つかったんですか?」
「そうなんですよ! 帰って、なんとなく前使っていた鞄を探ったら、底板の下に挟まってて」
「それはすごい」
失くしものが見つかるなんて、確かにご利益がありそうだ。私も参っておこうか。
私は小銭を取り出し、賽銭箱に入れて参拝する。せっかくだから、何かお願い事を。
――無事に調査を終えて、タケさんが治りますように。
ぱっと思いつくことがこれくらいしかないが、ご利益があるなら今はこれが一番な気がする。
「レインさんも参ってませんでしたっけ?」
「いえ、僕は狛犬を確認して、その後神社の周りをぐるっと回っていたので、参拝はしていないんですよ」
「参っておけばよかったのに」
「本当ですね、何かご利益があったのかも」
参拝を終えて皆のもとに戻ると、ノコノコさんとレインさんの二人が、そう話して笑いあっていた。
すると、圭が「タケさんは?」と言って入る。
「タケさんは、参拝したのか?」
「タケさんは……どうでしたっけ?」
「あの時は、結構人がいたから、タケさんがどうだったかは見てなくて……すいません」
ノコノコさんとレインさんが頭を下げる。
つまり、ノコノコさんは参拝して、レインさんは参拝していない。タケさんはどちらか分からない。
タケさんが参拝したかどうかは分からないが、少なくともこの時点で「全員が同じ行動をした」という事にはならない。
「参拝は、関係ないような気がするな」
圭も同じ結論に至ったのか、ぽつりと呟いた。
そして、神社の中をぐるっと歩いて回り、狛犬の所に戻った。
小さな神社なので、ものの5分もかからない。
「圭君、どうだい?」
「どう、とは?」
「なにか、こう、感じるみたいな」
「ねぇな」
「ないかぁ」
私はそっと狛犬に触れる。立派な石でできた狛犬だ。口が開いている狛犬と閉じている狛犬が、向き合って佇んでいる。
「こうして見ると、ちょっと可愛いね」
「……可愛い、か?」
感想を述べると、圭に訝しげに言われた。
可愛いと思うけれど、狛犬。
「もうすぐ11時11分です」
レインさんがスマホで確認しながら告げる。
全員が、一瞬で黙り込んだ。なんとなく、緊張してしまう。
しんと静まり返った中で、街中特有の誰かの話声とか、遠くの電車の音とか、車の音とかが微かに響きわたる。
そうして、スマホの時計は11時11分を指し示すのだった。




