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EP.1『絶望の日』
「アダム……お前だけは……! アダム……!」
少女の目の前で養父は死んだ。ごぼごぼと血を吐きながら魔物の大きな口に咥えられて、必死で少女の名前を呼び、どこかへ連れ去られた。
目の前には多くの騎士たちの姿がある。美しかった制服は血と臓物に塗れ、泥まで混ざってめちゃくちゃだ。その全てが、少女の仲間たちで、今は物言わぬ死体となってその体を飛び散らせていた。死者は六十名。生き残りは少女だけ。
共に肩を並べて切磋琢磨してきた仲間たちはもう誰も笑ってはくれない。
恐怖と絶望に彩られた最低最悪の日。
────アダムスカ・シェフィールドの十五歳の誕生日だった。